【最終年度に実施した研究の成果】 2023年度は、前年度から続けて2つのテーマで研究を行った。具体的には、「(i)球面上の回帰モデルに関する研究」と「(ii)トーラス上の確率分布および関連した回帰モデルの研究」を行った。以下、それぞれの研究について説明する。 はじめに、「(i)球面上の回帰モデルに関する研究」では、被説明変数がp次元単位球面に値をとる回帰モデルを研究した。2022年度はこの回帰モデルの説明変数が(被説明変数の次元と等しい)p次元単位球面に値を取る場合について主に研究したが、2023年度には説明変数が(被説明変数の次元と一般に異なる)q次元単位球面に値をとる場合について詳しく研究した。この場合の回帰モデルのパラメータの解釈が可能であることを明らかにした。また、誤算分布としてvon Mises-Fisher分布を用いたときの最尤推定値を数値的に求めるアルゴリズムを与えた。提案したアルゴリズムは、数値実験で良好なパフォーマンスを示した。 次に、「(ii)トーラス上の確率分布および関連した回帰モデルの研究」では、2021年度に提案したトーラス上の確率分布を実際にタンパク質のデータと気象データへと応用し、良好な当てはめ結果を得た。また、パラメータの推定値からそれぞれのデータの特徴および関連した知見を議論した。
【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 大きく3つのテーマで研究を実施した。具体的には、「被説明変数が単位球面に値を取り、説明変数が実数に値をとる回帰モデル」、「トーラス上の確率分布および関連した回帰モデル」、「被説明変数が単位球面に値を取り、それぞれの座標軸について尺度を調整できる回帰曲線を持つ回帰モデル」について研究した。これらの統計モデルを提案し、それぞれのモデルのパラメータの解釈と推定が可能であること等の多くの統計的性質を明らかにした。
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