研究課題/領域番号 |
20K03779
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所 |
研究代表者 |
加藤 豪 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, メディア情報研究部, 主任研究員 (20396188)
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研究分担者 |
丸山 耕司 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 客員教授 (00425646)
尾張 正樹 静岡大学, 情報学部, 准教授 (80723444)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 量子システム / 間接制御 / 数理物理 / 量子情報 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、「量子系全体が非常に多くの部分量子系に分割され、その個々の部分量子系は自由に操作できるという状況」という考え方で得られていたバイプロダクトの一般化に成功した。その結果として、任意のネットワークトポロジーにおいて、古典的な情報処理であるセキュアネットワーク符号に対して、捻じれた対応関係にあるセキュア量子ネットワーク符号が必ず存在する事を発見し論文化した。 さらには、この考え方に関連して、量子情報処理における古典的な処理部分や、古典的な情報処理そのものへの応用をおこなった。前者においては、量子暗号と呼ばれる、完成された理論への貢献につながった。量子暗号では、複雑な古典的事後処理をおこなうが、この処理を適切に再設計することで、実際におこなった量子操作をより高い精度で推定することが可能になり、鍵の生成レートが向上させた。また、後者おいては、秘密鍵のペアがネットワーク状に配布されるという、量子暗号の実施によって初めて生じる状況の理解への貢献につながった。具体的には、秘密鍵のペアがネットワーク状に配布された状況から実現できる秘密通信と、秘密ネットワーク符号と呼ばれる従来から研究されていた問題設定によって実現できる秘密通信との間には、非常に高い類似性がありながら、秘密鍵からなるネットワークから実現できる秘密通信のほうが真に能力が高いことを発見した。 形になった成果は、主に関連研究としてテーマを膨らませていった中から得られているが、本来の目的に沿った研究も論文化などの形になるまでには至っていないが、順調にすすんでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題として当初掲げた目標は順調に進めた一方、関連した研究が大きく伸長したため。
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今後の研究の推進方策 |
理論の一般化として、単純に考えていた物理系の複雑性をあげた場合を想定し、操作の実現可能性という観点で知見ためてきた。今後は、操作にかかる時間という新しい観点で、数学的構造との関連を具体的に探っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度のコロナによる研究の立ち上がりの挽回に至らなかった。 ただ、本年度の当初予定額以上の支出実績あり。コロナの影響は社会に残るものの、可能な挽回策を模索する。
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