研究課題/領域番号 |
20K03779
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
加藤 豪 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所小金井フロンティア研究センター, 室長 (20396188)
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研究分担者 |
丸山 耕司 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 客員教授 (00425646)
尾張 正樹 静岡大学, 情報学部, 准教授 (80723444)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 量子システム / 間接量子制御 / 数理物理 / 量子情報 |
研究実績の概要 |
令和5年は、「制御にかかる時間」という観点での考察が進展した。具体的には、ハミルトニアン演算子で量子制御を記載した場合の、一定の条件の下での制御に要する時間の下限を新たに発見した。ここで一定の条件とは、ハミルトニアンのフロベニウスノルムが定数より小さいという条件をさす。 従来知られていた、解析的な制御時間の下限は、目的のユニタリ演算に対して条件を満たすハミルトニアンを用いても、解析的な時間の下限は一般的には実現することができなかった。これに対して、我々が発見した下限は、全ての目的のユニタリ演算に対して、条件を満たす中に、下限となる時間で実現可能なハミルトニアンを与えることができる。つまり、この条件における、タイトな量子制御の下限を与えたと言える。 全体位相の違いを無視した場合、異なるエネルギー固有値間の幅が一定以内のハミルトニアンでは、フロベニウスノルムが大きなハミルトニアンを実現できない。さらに、外場などの物理的な制御操作の強度と、ハミルトニアンのエネルギー固有値間の幅には、直接的な関係があることを加味すれば、ハミルトニアンのフロベニウスノルムによる上記条件は、物理的な操作強度の制限と関連することがわかる。よって本成果は、普遍的でかつ、有用な下限を得ることができたと解釈できる。 ただ、間接量子制御という文脈でこの結果を利用しようとした場合には、ハミルトニアンへの条件は緩すぎるものであり、さらなる研究の発展が望まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
完全に解析的な研究で量子操作に関する新しい知見を得ることができた。きわめて基礎的な関係でありながら、現在まで知られていなかった関係であり、発展的な応用の実現を目指す段階に入った。
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今後の研究の推進方策 |
本科研費は本来令和5年度が最終年度であったが、論文化に向けて、外部研究者とのディスカッションなどを重ね研究内容を深めるために一年延長させていただいた。さらに、ハミルトニアンへの条件を、数学的な扱いが容易なものから、物理的な解釈が容易なものへとシフトしていくことで、解析がより困難なものの、解釈がより容易な関係を導出していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終成果を論文にするのが終えていないため、本来最終年度は令和5年であったが、1年延長して、論文採録にこぎつけると共に、そのための費用に充てる。
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