研究課題
基盤研究(C)
固体材料の塑性変形を,地震現象に代表される非平衡系の臨界挙動の視点から理解するために,異なる素過程を持つ固体(結晶・ガラスのような不規則構造・両者が混在した固体)の原子スケールのシミュレーションを行った。この結果,構造によっては脆性的な破断と延性を示すモデルがえられたが,全ての構造において臨界塑性に特有の統計分布に従った変形挙動を示した。この分布の特徴と構造・機械特性には明確な相関は見いだせず,材料種や構造に起因する固有性は明確には認められなかった。
非線形物理学,非平衡物理学,材料科学
本課題で注目する臨界的な挙動は,固体塑性においては突発的に大規模な変形が発生することに対応する。これは,不規則構造固体においては突発的な変形集中による脆性破壊を誘引する。このことから本課題の結果は,金属結晶やガラス・アモルファス固体の延性・脆性の理解し,突発的な破壊の抑制につながることが期待される。また,非平衡臨界挙動と材料機械特性の両学術領域間で,各分野で培われた知見の相互作用と発展が促進されるであろう。