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2021 年度 実施状況報告書

微視的な系での断熱サイクルを通じた量子古典対応

研究課題

研究課題/領域番号 20K03791
研究機関東京都立大学

研究代表者

田中 篤司  東京都立大学, 理学研究科, 助教 (20323264)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード断熱非可積分性 / アンホロノミー / 新奇な量子ホロノミー / 量子古典対応
研究実績の概要

本課題では、これまで量子系で調べられてきた新奇な量子ホロノミーについて、その古典対応物を探索している。新奇な量子ホロノミーとは、定常状態にある量子系が断熱サイクルによって最初のものとは異なる定常状態に移行することである。近年、新奇な量子ホロノミーの具体例が数多く見いだされ、その数理的な背景として既存の幾何学的位相の枠組みの拡張が得られた。一方で、新奇な量子ホロノミーの多くは単純な量子古典対応を許さない。このため、以前は新奇な量子ホロノミーの古典対応物を論じることが可能か否かすら不明瞭であった。これを受け、昨年度は、古典的な一次元連成振動系への断熱的なピン止め操作についての解析から、この系では、適切に設計された断熱サイクルが古典作用のホロノミーを引き起こすことを示した。
本年度はまず、古典作用のホロノミーとHamiltonian monodromy (Duistermaat 1980, Cushman and Bates 1997)との関連を検討した。残念ながら、後者での古典作用の多価性と古典作用のホロノミーの明確な関係を得ることはできなかった。つぎに、一次元連成振動系の例に関して古典的な Thouless ポンプの類似物の可能性を数値的に検討した。また、一次元連成振動系の例をより一般的な古典可積分系の解析の枠組みから考察したところ、この例では断熱サイクルが自由度交換("自由度のホロノミー")を誘発することが明らかになった。この結果は、古典作用のホロノミーは古典線型系特有のものではなく、非線形な可積分系全般で起き得ることを意味する。ただし、その具体例を求めることは今後の課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

断熱的なピン止め操作下の一次元連成振動系での例について、理論的な理解は深まったが、既存の幾何学的位相や新奇な量子ホロノミーのトポロジカルな定式化と較べ得るようなレベルの結果を得ることはできなかった。また、本年度の結果から作用のホロノミーが起きる非線形系の存在が期待されるが、具体例を求めるまでには至らなかった。

今後の研究の推進方策

断熱的なピン止め操作下の一次元連成振動系での例について、より現実的な振動子系への応用例を探索したい。また、古典フロケ系での解析を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた計画に記した出張を実施できなかったため。本年度はサーバおよび開発用PCの購入を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考]

    • URL

      https://researchmap.jp/tanaka-atushi

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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