地球上に酸素が大量に出現して以降、生物は酸化酵素や酸素添加酵素等のタンパク質を獲得し、酸素を使った有機物の燃焼や水酸化ができるようになった。本研究の目的は、地球上の生物が酸素を使うために進化の過程で獲得したチトクロム酸化酵素等のタンパク質が酸素を効率的に使うことができる構造基盤を解明することである。研究の結果、チトクロム酸化酵素には、タンパク質表面付近の構造のわずかな歪みがタンパク質内部にある酸素分子の輸送経路まで伝わることが示唆された。また、ステロイドホルモンを合成するチトクロムP450について、基質結合部位の空間的な形の違いが酸素添加の能力の違いを生み出す仕組みを解明した。
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