研究課題/領域番号 |
20K03797
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
河村 洋史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(数理科学・先端技術研究開発センター), グループリーダー (90455494)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 結合回転水槽 / リミット・トーラス / カルマン渦列 / 埋め込み境界射影法 / 準2年周期振動 / 地球流体 / ベイズ推定 / データ駆動 |
研究実績の概要 |
結合させた一対の進行振動対流の間の位相同期現象が、大気大循環の模型実験系である回転水槽実験系において観察されている。本研究では、回転水槽実験系の進行振動対流に対する位相縮約法を定式化して、結合回転水槽における進行振動対流の時空間的な同期現象を位相縮約解析する。2022年度は、2021年度からの継続課題として、単体の回転水槽実験系の進行振動対流に関する直接数値計算および位相縮約解析を実施した。具体的には、周期外力を受けた回転水槽における進行振動対流の強制同期ならびにインパルス摂動を受けた回転水槽における進行振動対流の位相応答を計算した。そして、位相応答から求めた位相感受関数を用いて、強制同期に関する直接数値計算結果と位相縮約解析結果を比較した。さらに、位相感受関数を用いて、強制同期に最適な周期外力を解析した。現在、最適な周期外力を受けた回転水槽の強制同期を計算中である。 加えて、次の研究活動を行った。第一に、拘束条件を持つ偏微分方程式の位相縮約法と埋め込み境界射影法の融合によるカルマン渦列の位相縮約解析に関する主筆論文が出版された。そして、Physical Review FluidsのEditors' Suggestionに選出された。さらに、カルマン渦列の強制同期に最適な周期外力を解析した。現在、論文執筆中である。第二に、2021年度からの継続課題として、準2年周期振動を記述するシンプルな偏微分方程式モデルに対する位相縮約法の定式化ならびに一般的な強制同期の最適化手法の開発および検証に関する研究成果の論文化を進めた。特に、準2年周期振動の強制同期に最適な周期外力を解析した。最後に、集団振動を示す結合素子ネットワークの同期現象に対するベイズ推定に基づくデータ駆動型解析手法に関する共著論文が出版された。その発展問題として、現在、時空間リズムを示す反応拡散系に対して検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、単体の回転水槽実験系の進行振動対流に関する直接数値計算および位相縮約解析を実施した。加えて、強制同期に最適な周期外力を解析した。 並行して、次の研究計画を進めた。第一に、拘束条件を持つ偏微分方程式の位相縮約法と埋め込み境界射影法の融合によるカルマン渦列の位相縮約解析手法を論文化した。加えて、カルマン渦列に対する位相縮約法を用いて、カルマン渦列の強制同期に最適な周期外力を解析した。第二に、準2年周期振動に対する位相縮約法を用いて、準2年周期振動の強制同期に最適な周期外力を解析した。最後に、集団振動を示す結合素子ネットワークの同期現象に対するベイズ推定に基づくデータ駆動型解析手法を論文化した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、回転水槽実験系の進行振動対流に対する位相縮約法を用いて、周期外力を受けた回転水槽実験系における進行振動対流の時空間的な強制同期現象を解析する。そして、回転水槽実験系は大気大循環の模型実験系であり、周期外力を受けた回転水槽実験系における進行振動対流の時空間的な強制同期現象の位相縮約解析の結果を基に、地球流体における同期現象の数理物理的な理解を検討する。さらに、回転水槽実験系の進行振動対流に対する位相縮約法を用いて、一対の回転水槽の結合系における進行振動対流の間の時空間的な位相同期現象を解析する。そして、回転水槽実験系は大気大循環の模型実験系であり、一対の回転水槽の結合系における進行振動対流の間の時空間的な位相同期現象の位相縮約解析の結果を基に、地球流体における同期現象の数理物理的な理解を検討する。つまり、当初の計画通りに研究を推進する。 加えて、カルマン渦列の強制同期とその最適化、準2年周期振動に対する位相縮約法とその応用、ベイズ推定に基づくデータ駆動型解析手法を論文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会や会議の旅費として使用する予定であったが、2020年度や2021年度と同様、オンライン開催やハイブリッド開催となり、出張の回数が減少したため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は高性能なワークステーションを購入するための物品費として使用する計画である。
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