研究課題
最終年度は、超短パルスレーザー照射によるスピンクロスオーバー系の光誘起ダイナミクスの実験において観察されている、異なる時間スケールで起こる励起相の階段的増加とそれに続く緩和過程の起源の解明に向けたモデル化に取り組んだ。その第一ステップとして、これまでに構築したバイブロニック結合による弾性的長距離力の協力的相互作用モデルを用いて、光励起状態からの熱伝導プロセスをモデル化して、実験で見られる秩序変数の時間発展を定性的に再現することに成功した。そして、その研究成果をまとめ、学術誌に投稿した(審査中)。研究期間全体を通して、弾性的な長距離相互作用が働く系の多段階転移現象と安定・準安定機構に関する理論研究を進めた。平均場近似やモンテカルロ法により秩序変数の温度や外場パラメーター依存性をいくつかの格子で調べ、相図の解析を行った。特に、スイッチングデバイス応用の可能性から最近注目されているCore-Shell複合系の物性に着目し、2種類のスピンクロスオーバー化合物で構成されるCore-Shell系ナノコンポジットのモデルの構築と安定・準安定機構について調べた。そして、低温のlow spin相から高温のhigh spin相への2ステップ転移に関して、複合系が持つ特有のエントロピー効果と界面でのフラストレーション効果のため、単体(一種の)の系では見られない転移の機構があることを見いだした。本研究期間にそれらの成果はレビュー論文として発表した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 6件、 招待講演 6件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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