単一光子発光体である微小発光体とその伝送路となる単一モード光ファイバーとの簡便かつ実用的なインターフェースの実現を目標にテーパー状光ファイバーの形状の検討およびその製作法の開発および試作を行った。このデバイスはファイバー端をテーパー状に細くした単一モード光ファイバーとその先端中央に取り付けられた量子ドット等の微小発光体で構成される。 テーパー形状でポイントとなるのは先端径とテーパー角の二つである。ファイバー端面から入射した光は幾何光学的には(ガラスの屈折率が√2以上あるため)すべて全反射により(クラッドも含めた)ファイバー内に閉じ込められる。先端ファイバー直径が波長程度以下であればクラッドも含めて単一モードとなるので先端より入った光は基底モードとなる。一方断熱定理によりファイバー径の変化が十分緩やかであれば伝播過程においてモードは保たれるのでテーパー加工されていない領域に到達した光は自動的にコア内の基底伝播モードに吸い込まれていく。 テーパー状光ファイバーの光のピックアップとして利用はかねてから行われており、近年では断熱条件を考慮した精密な加工も行われるようになっているが、加熱加工の熱源の問題から先端付近の細い径の領域が断熱条件の要求に比べ非常に長いため機械的強度が低く、使い勝手が悪かった。本研究では集光した炭酸ガスレーザーを用いて局所的に加熱することによりこの問題の解決を試みている。一方でこのような局所的加熱ではなだらかな加工が難しくファイバー直径が20μm前後で課される厳しい断熱条件が問題となったがガルボスキャン鏡を用いて実効的な加熱幅をコントロールすることによりこの問題をクリアした。レーザー加熱のもう一つの問題はファイバー径が吸収長より小さくなると加熱温度が低下することである。これに関しては加工機に急速にファイバーを引き抜く機構を追加することによって解決を図っている。
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