研究課題
基盤研究(C)
圧力下で価数転移や価数揺動を引き起こすユーロピウム化合物に対して自ら開発した3次元熱緩和法により熱伝導率・比熱の圧力下絶対値測定を行った。1次相転移である価数転移を正しく評価するため測定および解析手法の改良も行った。圧力により電子間相互作用は強まり物性が磁気秩序、価数転移、価数揺動状態と変化するが、その電子状態の変化を熱伝導率、比熱により網羅的に観測できた。解析して得られた磁気エントロピーの値より現象に関与する量子準位が9準位分であることなど、電子状態を理解するための重要な情報を得た。
固体物理学
本研究で発展させた3次元熱緩和法は圧力下での熱特性測定の現状を一変させる画期的なものである。1次相転移の観測および評価が可能になったことは学術的に大きな意味を持つ。その手法を用いて研究対象のユーロピウム化合物の多彩な物性を系統的・網羅的に明らかに出来た。ユーロピウム化合物は特に価数が不安定な物質として注目されており、その物性を理解することは将来的に価数由来の現象を利用した新たなデバイスの開発に繋がると期待できる。