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2023 年度 実績報告書

軌道自由度がもたらす銅酸化物高温超伝導体の新展開の理論

研究課題

研究課題/領域番号 20K03847
研究機関立命館大学

研究代表者

渡部 洋  立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (50571238)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード銅酸化物高温超伝導体 / 軌道自由度 / 強相関電子系 / 変分モンテカルロ法 / BCS-BECクロスオーバー
研究実績の概要

令和5年度は最終年度であり、4年間の研究を振り返りながら総まとめを行った。本研究成果の普及のため、雑誌「固体物理」に解説記事を執筆した。銅酸化物高温超伝導体の長年の研究成果と課題をレビューし、本研究で明らかにしてきた軌道自由度の重要性を丁寧に解説した。
また、銅酸化物高温超伝導体とκ-ET系有機超伝導体の超伝導メカニズムを解析・比較し、強相関電子系におけるBCS-BECクロスオーバーの可能性を議論した。銅酸化物高温超伝導体は母物質の反強磁性絶縁体にホールドープすることで超伝導を発現するが、低ドープ領域での振舞いは高ドープ領域での振舞いと明らかに異なっており、ここでBCS-BECクロスオーバーが起きているのではないかという議論がある。これを受けて本研究では、まず関連物質であるκ-ET系有機超伝導体の解析を行い、相互作用の変化によってBCS-BECクロスオーバーの兆候(超伝導相関関数のドーム型の振舞い・化学ポテンシャルの大きな変化)が見られることを示した。次に銅酸化物高温超伝導体の低ドープ領域でも類似の振舞いが見られることを示し、両者でBCS-BECクロスオーバーが起こり得ることを示した。これらの成果は強相関電子系におけるBCS-BECクロスオーバーの研究の進展に大きく貢献すると期待される。以上の成果を強相関電子系の国際会議SCES2023でポスター発表し、Best Poster Awardを受賞した。
4年間の研究を通じて銅酸化物高温超伝導体における軌道自由度の重要性を明らかにし、更なる理解を深めると共に有機超伝導体との密接な関係も明らかにすることができた。計算手法として用いた変分モンテカルロ法の開発・改良も進み、より複雑で大規模な計算が可能になった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] 軌道自由度から導かれる銅酸化物高温超伝導体の統一的理解2023

    • 著者名/発表者名
      渡部洋, 池田浩章, 柚木清司
    • 雑誌名

      固体物理

      巻: 58 ページ: 261-272

    • 査読あり
  • [学会発表] Theory of BCS-BEC Crossover in Strongly-Correlated Electron Systems: Organic Superconductors and Cuprates2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Watanabe, Hiroaki Ikeda
    • 学会等名
      The International Conference on Strongly Correlated Electron Systems
    • 国際学会
  • [学会発表] Possibility of BCS-BEC crossover in unconventional superconductors2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Watanabe, Hiroaki Ikeda
    • 学会等名
      International Conference on Quantum Liquid Crystals
    • 国際学会
  • [学会発表] 強相関電子系におけるBCS-BECクロスオーバーの可能性:有機超伝導体と銅酸化物高温超伝導体2023

    • 著者名/発表者名
      渡部 洋, 池田浩章
    • 学会等名
      強相関電子系のフロンティア
  • [学会発表] κ-ET系超伝導体におけるBCS-BECクロスオーバーの可能性:幾何学的フラストレーションの効果2023

    • 著者名/発表者名
      渡部 洋, 池田浩章
    • 学会等名
      日本物理学会第78回年次大会
  • [学会発表] Possibility of BCS-BEC crossover in κ-type molecular superconductors2023

    • 著者名/発表者名
      渡部 洋, 池田浩章
    • 学会等名
      新学術領域研究「量子液晶の物性科学」令和5年度領域研究会
  • [学会発表] κ-ET系有機超伝導体におけるBCS-BECクロスオーバーの可能性2023

    • 著者名/発表者名
      渡部 洋, 池田浩章
    • 学会等名
      京大基研研究会「超伝導研究の発展と広がり」

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公開日: 2024-12-25  

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