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2021 年度 実施状況報告書

カイラル磁性体における量子効果の理論

研究課題

研究課題/領域番号 20K03855
研究機関東京大学

研究代表者

加藤 雄介  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20261547)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードカイラル磁性体 / カイラルソリトン / 量子性 / ジャロシンスキー守谷相互作用 / ペロン・フロベニウスの定理
研究実績の概要

カイラル磁性体は、平衡状態において磁気構造(磁気モーメント、スピン)が空間的にらせん構造を取る磁性体である。そのらせん構造の外部磁場に対する依存性は、ジャロシンスキーによって見出された特異な連続相転移を伴うものである。これまで古典スピン模型を用いて解析され、また実験結果と比較されてきたこの現象の量子性について本研究では厳密対角化法などの数値的手法と保存量に関する考察、解析的な近似計算によって明らかにした。2021年度の主な成果は、ジャロシンスキー守谷相互作用とゼーマンエネルギーのみから構成されるスピン鎖において、S=1/2の場合に、ソリトン数Nと最低エネルギー状態の結晶運動量kの間にk=πNの関係があることを厳密に示したことと、S=1以上(S=1,3/2,2,・・・)の量子スピン鎖系においても、ジャロシンスキー守谷相互作用とゼーマンエネルギーのみから構成されるスピン鎖をソリトン数の固有空間に射影した模型においてソリトン数Nと最低エネルギー状態の結晶運動量kの間にk=2πSNの関係があることを厳密に示したことである。年度の途中で、Sが大きい場合にスキルミオンの分散関係に対して同様な関係式を議論した先行研究[Takashima et al.2016]やナノ磁性体における磁壁の分散関係に関する先行研究Braun 2012]の存在に気付いたが、本研究は量子性の大きい、小さいSの量子スピン系に対して純粋に量子系として扱う点に半古典的手法を用いた先行研究にはない特徴と重要性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に数値的に見出した量子効果に対して、代数的に厳密な結果を得たこと、先行研究において半古典的手法を用いて得られた結果に対して、本研究では純粋に量子的に系を取り扱い、カイラル磁性における量子効果の物理的機構を明らかにしたことにより、重要かつ新規であり、妥当性も明確な結果が得られたため。

今後の研究の推進方策

これまでの成果を原著論文や国際会議、国内会議での発表により、研究成果の発信を推進する。

次年度使用額が生じた理由

前年度、前前年度は旅費に用いる機会がなかったのが、次年度使用額が生じた理由である。今年度は低温国際会議(8月)、日本物理学会(年2回)、国内研究会に大学院生4名とともに参加する際に旅費として用いる計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 1次元カイラル強磁性体における整数・半奇整数スピンによる違いII2022

    • 著者名/発表者名
      児玉壮平、田中秋広、加藤雄介
    • 学会等名
      日本物理学会第77回年次大会
  • [学会発表] 1次元カイラル強磁性体における整数・半奇整数スピンによる違い2021

    • 著者名/発表者名
      児玉壮平、加藤雄介
    • 学会等名
      日本物理学会2021年秋季大会

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公開日: 2022-12-28  

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