ドナーとアニオンの比が1:1である「真性モット絶縁体」であるbeta-(BEDT-TTF)TaF6は狭いバンド幅であり、ネール温度10 Kの反強磁性状態になる。この物質と酷似した構造をもつzeta-(BEDT-TTF)PF6のバンド構造が1次元的であることが明らかになった。zeta-PF6はスピンパイエルス状態になるが、beta-TaF6は四角格子型のため反強磁性状態をとると考えられる。一方、異方性の強い三角格子をもつkappa-(BEDT-TTF)2TaF6は1.6 Kまで常磁性のままであるが、この物質に220 Kで構造相転移があることを見出した。低温では三斜晶のドメイン構造になる。
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