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2022 年度 実施状況報告書

分子動力学計算と連続体計算を接続するマルチスケールシミュレーション

研究課題

研究課題/領域番号 20K03875
研究機関東北大学

研究代表者

村島 隆浩  東北大学, 理学研究科, 助教 (50565520)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード高分子 / 分子動力学法 / 連続体計算 / 非平衡 / 有限要素法 / 伸長流動
研究実績の概要

環状高分子は線状高分子と異なり末端を持たないため、流動中のダイナミクスは線状高分子と環状高分子では大きく異なる。この環状高分子を線状高分子とブレンドすることにより、新しい力学特性を付与することができると考えられており、数多くの研究が展開されている。我々は多環の環状鎖と線状鎖の混合系の二軸伸長流動下における粘弾性挙動の予測を、我々がこれまで開発してきたUEFEX法を用いて行った。その結果、単環鎖と線状鎖の混合系よりもシャープなストレスオーバーシュート挙動が多環鎖と線状鎖の混合系では生じることを発見し、さらにそのオーバーシュート挙動が起きるメカニズムが多環鎖のうち一つの環だけが開いて他の環が閉じるトポロジーの変化を伴う構造転移によって引き起こされていることを突き止めた。この結果はMacromolecules誌に出版され、Supplementary Cover Artに選出された。有限要素法と分子動力学法を連携させるマルチスケールシミュレーションの開発については、任意の変形下におけるNPTアンサンブルの検討を進めた。また、GPU上で高速に分子動力学シミュレーションを実施できるHOOMD-blueを用いてMultiple-tau法の計算を可能にするためのコード開発を行った。この新しい方法を用いることで従来数カ月かかっていた線形粘弾性の評価(応力の相関関数の計算)を数週間で終えることが可能になった。今後応用研究を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マルチスケールシミュレーション手法を用いた論文出版はまだできていないが、UEFEX法を用いた論文がMacromolecules誌から2021年度と2022年度に1報ずつ出版されており、研究の進捗は順調であると考えている。

今後の研究の推進方策

マルチスケールシミュレーションの最近のトレンドとしては、いかに計算量を減らすかというところにたびたび注力されている。例えば、分子シミュレーション領域と構成則モデル領域を可変に切り替えたり(doi:10.1063/5.0063059)、機械学習により分子シミュレーション挙動を予測する機械学習モデルを用いる(10.1103/PhysRevResearch.2.033107)などの工夫がある。我々は分子動力学シミュレーションのGPU高速化を検討しつつ、これらの新しい手法も視野にいれて研究を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

最終年度の予算(50万円)を前倒し請求したため、最終年度の予算は39930円となっている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Topological Transition in Multicyclic Chains with Structural Symmetry Inducing Stress-Overshoot Phenomena in Multicyclic/Linear Blends under Biaxial Elongational Flow2022

    • 著者名/発表者名
      Murashima Takahiro、Hagita Katsumi、Kawakatsu Toshihiro
    • 雑誌名

      Macromolecules

      巻: 55 ページ: 9358~9372

    • DOI

      10.1021/acs.macromol.2c01579

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 多環状鎖・線状鎖混合系の二軸伸長流動下のストレスオーバーシュート2022

    • 著者名/発表者名
      村島隆浩, 萩田克美, 川勝年洋
    • 学会等名
      2022年度高分子基礎物性研究会・高分子計算機科学研究会・高分子ナノテクノロジー研究会合同討論会
  • [学会発表] 二軸伸長流動下における多環状鎖のトポロジカル転移2022

    • 著者名/発表者名
      村島隆浩
    • 学会等名
      第36回分子シミュレーション討論会
  • [学会発表] 環状鎖/線状鎖混合系の二軸伸長流動シミュレーション2022

    • 著者名/発表者名
      村島隆浩
    • 学会等名
      第10回ソフトマター研究会
  • [学会発表] 多環状鎖/線状鎖混合系の二軸伸長流動下における多環状鎖のトポロジー2022

    • 著者名/発表者名
      村島隆浩
    • 学会等名
      ソフトバイオ研究会2022
  • [学会発表] 環状鎖(単環、多環)と線状鎖の混合系の二軸伸長流動下におけるストレスオーバーシュートの解析2022

    • 著者名/発表者名
      村島隆浩, 萩田克美, 川勝年洋
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/7000003465

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公開日: 2023-12-25  

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