研究課題
水素ガスに対する高強度集光EUV光による光電離プラズマの特性を理解した。本年度はキセノン光源プラズマからのEUV帯域外放射に関する研究を行なった。一次元輻射流体コードSTAR 1Dを用いて、レーザー照射強度に対するEUVおよび帯域外放射スペクトルを求めた。照射強度が1E10-1E11 W/cm^2の領域ではEUV帯域内にピークを持つスペクトルが得られ、照射強度が1E8 W/cm^2まで下がるにつれて100 nm帯の帯域外放射が主となるスペクトルにシフトすることが分かった。一方実験的にX線フォトダイオードを用いて全帯域にわたる計測と、20 nm以下のEUV帯域内の計測を行なった。1E11 W/cm^2から1E9 W/cm^2に強度を下げると、帯域外光/帯域内光の割合が1倍から100倍程度まで増加した。水素分子の断面積データからEUVおよび帯域外放射を水素ガスに集光照射した際、2つのレーザー強度領域では水素への光の吸収過程が全く異なり、1E10 W/cm^2台以上のレーザー照射では光電離過程、1E10 W/cm^2台を切ると光解離過程が主な吸収過程となることが示唆された。レーザー強度4E11 W/cm^2の条件で放射されるEUVドミナント光を集光し、水素ガスに照射した水素光電離プラズマについて特性を調べた。レーザー誘起蛍光法を用いて基底状態にある水素原子の密度計測を行った。また受動分光で得られたバルマー線の強度から得られたn=3,4,5の励起状態水素原子密度と合わせて、4.8E14 cm^-3の水素原子密度がプラズマ中で得られていることが分かった。軌道ごとの水素原子密度分布は、イオン化と再結合を考慮した衝突輻射モデルを用いた理論計算との良い一致を示した。更に基底状態と励起状態の水素原子密度時間発展データにより、準定常状態の再結合プラズマであることが示唆された。
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