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2020 年度 実施状況報告書

周波数干渉計を用いた超短パルス電子ビームのパルス幅計測

研究課題

研究課題/領域番号 20K03897
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

小瀧 秀行  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 上席研究員(定常) (60354974)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードレーザー電子加速 / 高強度レーザー / 超短パルス電子ビーム / 周波数干渉計 / 非接触電子ビーム計測
研究実績の概要

チャープパルス増幅によるレーザー科学の進展により、高強度超短パルスレーザーが実用化された。この高強度レーザーを用いて、レーザー電子加速によるフェムト秒オーダーの超短パルス電子ビームの生成が可能になった。その電子ビームのパルス幅の計測は、XFELや電子顕微鏡、電子線散乱計測などの電子ビーム応用のための重要な測定の1つである。これまでの電子ビームのパルス幅計測には、Electro-Opticsやコヒーレント遷移放射、電子振動計測が用いられてきた。Electro-Opticsでの計測においては、計測の分解能に問題がある。コヒーレント遷移放射および電子振動測定の場合、電子ビームを物質やスクリーンに衝突させ、電子ビームを光に変換して計測するため、電子ビーム計測と電子ビーム利用を同時に行うことができない。この問題を解決するため、周波数干渉計を用いることで、電子ビームへの影響を及ぼさない、超短パルス電子ビームのパルス幅測定法を確立するため、研究を進めた。
令和2年度は、レーザー加速電子ビームの生成軸の安定化と、周波数干渉計測用プローブパルスの入射用のセットアップを行う予定であった。しかし年度前半は、新型コロナウィルスの影響による在宅勤務要請のため、レーザー施設が稼働できず、実験を進めることができなかった。後半は、実験を開始することができたが、まずレーザーのメンテナンスを行わなければならなかった。その後、電子ビーム発生の安定化を行なった。レーザーおよび電子生成ターゲット(ガスジェット)の最適化により、レーザー加速電子ビームの生成軸の安定化ができた。軸の安定化により、電子ビームとパルス幅測定用プローブパルスの位置合わせができるようになったので、この電子ビームを用いて、研究を次の段階に進めることが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

年度最初から夏までは、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言等で、研究所のほぼ全員が在宅勤務を余儀なくされ、レーザーを稼働することができず、全く実験を行うことができなかった。その後はまずレーザーのメンテナンスを行い、レーザーを元の状態に戻す作業を行わねばならなかった。年度の後半に入り、レーザー電子発生による電子発生実験を再開し、生成電子ビームの安定化を行った。計画では、レーザー加速電子ビームの安定化と計測用のプローブパルスの準備までを行う予定であったが、予期せぬ交通事故による身体の不調のため実験の進捗が遅れ、電子ビームの安定化までに留まった。

今後の研究の推進方策

メインパルスとプローブパルスを同軸でプラズマ中に入射し、周波数干渉計測を行う。まず、電子発生のない低密度のプラズマでプラズマの測定を行う。その後、そのままプラズマ密度を上げ、電子発生の状態にし、その時の周波数干渉縞の変化を測定する。次に、プラズマ密度を電子発生ギリギリの状態にし、同密度で、電子発生のある時とない時を比較する。ギリギリのプラズマ密度では、ガスジェットの揺らぎにより電子発生が不安定となる。同一の密度でありながら、ショットごとに電子が発生したりしなかったりする。これを利用し、同一密度で電子のある場合とない場合の比較を行う。さらに、周波数干渉計測の位置をプラズマ中からプラズマ外に移し、電子ビームのみの測定を行う。周波数干渉計での観測は、スペクトロメーターで行う。その観測点は、スペクトロメーターで使用するCCDカメラのイメージ点がどこになるかで決まる。プラズマ測定の場合、イメージ点をプラズマ中に調整するが、そのイメージ点をプラズマの外に移動させることで、プラズマのない状態、つまり電子ビームのみの計測を行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスおよび交通事故により、実験の進捗に遅れが生じたため、実験用の光学部品の購入費用に未使用額が発生した。同様に出張の取りやめにより、旅費の未使用額が発生した。今後、購入予定であった光学部品を実験の進捗に合わせてその内容を見直しながら購入する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Single-shot electro-optic sampling on the temporal structure of laser wakefield accelerated electrons2020

    • 著者名/発表者名
      Kai Huang, Hideyuki Kotaki, Michiaki Mori, Yukio Hayashi, Nobuhiko Nakanii, Masaki Kando
    • 雑誌名

      Crystals

      巻: 10 ページ: 640

    • DOI

      10.3390/cryst10080640

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A single shot non-destructive electro-optic monitor for the electron emission timing diagnostic in laser wakefield acceleration2021

    • 著者名/発表者名
      Kai Huang, Hideyuki Kotaki, Michiaki Mori, Timur Esirkepov, James Koga, Yukio Hayashi, Nobuhiko Nakanii, Sergei Bulanov, Masaki Kando
    • 学会等名
      レーザー学会学術講演会第41回年次大会
    • 招待講演
  • [学会発表] QSTにおけるレーザー航跡場加速の安定性向上に向けた複合的アプローチ2021

    • 著者名/発表者名
      森 道昭, 小瀧 秀行, 林 由紀雄, 中新 信彦, 黄 開, 神門 正城, 近藤 公伯
    • 学会等名
      レーザー学会学術講演会第41回年次大会
  • [学会発表] 高強度円偏光レーザーを用いた非線形逆トムソン散乱によるガンマ線渦の発生22021

    • 著者名/発表者名
      平 義隆, 神門 正城, 小瀧 秀行, 林 由紀雄, 中新 信彦, 黄 開, 大東 出, 川瀬 啓悟, 早川 岳人
    • 学会等名
      日本物理学会第76回年次大会
  • [学会発表] Spectral measurement of BISER2020

    • 著者名/発表者名
      Akito Sagisaka, Koichi Ogura, Timur Esirkepov, David Neely, Tatiana A. Pikuz, James K. Koga, Yuuji Fukuda, Hideyuki Kotaki, Yukio Hayashi, Bruno Gonzalez izquierdo, Kai Huang, Sergei Bulanov, Hiromitsu Kiriyama, Kiminori Kondo, Tetsuya Kawachi, Masaki Kando, Alexander Pirozhkov
    • 学会等名
      光・量子ビーム科学合同シンポジウム2020

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公開日: 2021-12-27  

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