本研究は、磁場閉じ込め核融合研究における”閉じ込め特性に対する水素同位体効果”の解明を目指している.乱流の非線形性を介在して同位体効果が生じるという仮説の実証を目指し、A.乱流の非線形特性の実験的観測による同位体効果発現機構の解明,B.磁場配位制御による、非線形乱流を介在した、同位体効果への影響の検証 に取り組んでいる.軽/重水素同位体比を制御し、乱流と帯状流の非線形結合・競合過程の特性の応答を解明する。このための計測器として,デュアル・ドップラー反射計、および多視線干渉計から成る複合計測システムによって乱流・帯状流を直接観測し、多様な揺動解析手法を駆使することで、乱流の素過程およびその非線形特性を評価する。さらに、制御ノブとして磁場の幾何形状(磁場配位)を制御し、乱流と帯状流の非線形結合・競合過程を介して同位体効果に影響を与えうるか、解明を目指している。 2022年度は,計測システムのアップグレードを完了し,同時に既存データの解析を進めた.帯状流同定に導入したドップラー反射計システムに関しては,これまでに開発した側面および上部ポートの反射計システムに加え,新たに上下同時計測が可能な可動式凹面ミラーを有する反射計システムを導入した.可動ミラーを導入することで、異なる観測位置・波数等を計測可能となった。ポロイダル断面において上下方向に異なる各領域で,観測点の二次元スキャンや、強磁場・弱磁場側の乱流の非対称性等の調査を実現した.当然,同一磁気面の同時計測による帯状流探索も可能であり,データ取得に成功し,現在解析を進めている.干渉計の開発では単視線システムから,複数視線への拡張を進めており,今年度は二視線の同時計測に成功している.また取得済みのデータ解析を進め,磁場の幾何形状(磁場配位)の制御が、乱流と帯状流の非線形結合・競合過程を介して同位体効果に影響を与えうることを示した.
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