研究課題
磁場閉じ込め核融合プラズマにおいてプラズマが自発的に形成する乱流構造は粒子・熱輸送を増加・抑制するので、閉じ込め改善のためにはその形成機構の理解が必要である。本研究ではトーラス形状磁化プラズマにおける多空間スケール揺動間の非線形相互作用を数値シミュレーションにより定量的に評価することができるシステムの構築およびそれを用いた解析を通じて、プラズマ乱流におけるメゾおよび巨視的構造形成機構の詳細を解き明かすことが目的である。そのためにトーラス統合乱流診断システムの開発を進めた。これは計算機空間での数値診断、すなわちプラズマの3次元シミュレーションデータを実際の磁場配位上に配置して、それに対して実験で行われる乱流計測を実際の観測条件を考慮して模擬することでの揺動データ解析を可能とするものである。オブジェクト指向プログラミングを適用することで多種の磁場閉じ込めプラズマ揺動診断に対応している。本年度は複雑な3次元形状をしたヘリカルプラズマに重イオンビームプローブ模擬および位相コントラストイメージング模擬を適用した結果をまとめ、国際学会にて報告した。さらにトーラスプラズマの3次元乱流シミュレーションを通じて大域的・動的な現象の物理的理解を進めるのも本研究の対象である。本年度は大域的簡約MHDコードを使用した密度勾配駆動の乱流粒子輸送過程についての論文をまとめるとともに、その非線形過程の数値診断から粒子流束が維持される機構を提示した。このようにトーラス統合乱流診断システムを実験比較プラットホームとして確立するための基盤整備を進め、それによる物理機構解明につなげることができた。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件)
Plasma and Fusion Research
巻: 18 ページ: 1203052~1203052
10.1585/pfr.18.1203052