研究課題/領域番号 |
20K03935
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
丸吉 一暢 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (30781942)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超対称性 / 可積分系 / 場の量子論 / 量子シミュレーション / ディフェクト |
研究実績の概要 |
令和4年度は、令和3年度に引き続きレンズ空間上のN=2理論のディフェクト分配関数と対応する可積分系の研究を行った。様々な種類のディフェクトを含んだ場合の4次元N=2超対称性を持った場の量子論の分配関数を計算し、それが可積分系のL演算子を用いてどのように表現されるか調べた。
また、シンプルかつ重要な可積分系であるXXXスピン鎖の量子シミュレーションについても研究を行った。XXXスピン鎖を含む可積分系には多くの保存量が存在する。XXXスピン鎖模型の保存量の時間発展は実際に量子コンピューターで計算することができる。ただ、現行のデバイスではノイズが大きく本来保存するべき保存量が時間とともに減衰し保存されないという結果が得られた。逆にこのような減衰は、量子デバイスのベンチマークとして使用することができる。この点を指摘し、IBM Quantumの量子コンピューター等を用いて減衰の様子などを調べた。
また、研究課題に関連した国際研究会"Kiev formula and related topics"(オンライン形式)や、"QFT and Related Mathematical Aspects"(対面形式)を開催することで、関連する分野の進展を本研究に取り入れた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように研究は計画通り進んでいる。しかし、新型コロナウィルス感染症流行による海外出張の制限が一部なされていたため当初予定していた海外での研究会出席・研究打ち合わせ等の研究活動ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
N=2超対称ゲージ理論でのディフェクトとHitchin系の関係を明らかにする。特に1年目で得られたN=2超対称ゲージ理論のディフェクトに関係する差分演算子と、平坦4次元空間上でのN=2超共形場理論に対応する量子Hitchin系とを関係づける。
次年度は新型コロナウィルス感染症流行による海外への渡航制限がなくなるため、予定されていた海外での研究会の参加・研究打ち合わせを実施する方針である。また、研究課題に関連した研究会の開催経費として使用することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症流行の影響が依然としてあり、予定していた海外出張を延期せざるを得なくなったため。令和5年度に延期分の海外出張を予定している。
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