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2021 年度 実施状況報告書

拡がる修正重力理論の地平とその妥当性の多角的検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K03936
研究機関立教大学

研究代表者

小林 努  立教大学, 理学部, 教授 (40580212)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード宇宙論 / 重力
研究実績の概要

SU(2)ゲージ場あるいは互いに直交するベクトル場の3つ組が存在する場合の、一様・等方・正曲率の宇宙のダイナミクスを研究した。SU(2)の場合、ゲージ場の配置については以前から知られているアンザッツを用いるが、ノンアーベリアン対称性の場合はより非自明であり、新しいアンザッツを開発した。特に、アキシオン-SU(2)インフレーションとU(1)×U(1)×U(1)対称性を持つベクトル場によるインフレーションを考え、そのダイナミクスを詳細に数値的に解析した。ベクトル場を通して空間曲率の新しい効果が現れ、従来にないインフレーション以前のダイナミクスを引き起こすことが判明した。その結果、ベクトル場を持つ閉じた宇宙は、インフレトン場のみで満たされた宇宙よりも、崩壊に対してわずかに安定であることがわかった。
スカラーの自由度を非動的とし、2つのテンソル自由度、すなわち一般相対性理論と同じ数の動的自由度を持つ空間共変修正重力を考察した。このような修正重力理論のうち、3つの時間関数で特徴づけられるクラスに着目し、2つのテンソル自由度を持つ修正重力が、観測的あるいは現象論的に一般相対性理論とどのように区別できるかを議論した。この理論が、弱い重力場と重力波の伝搬速度について、一般相対性理論と同じ予測を与えることを確認した。また、漸近的に平坦なブラックホール解に修正がないことを確認した。理論における時間依存関数の選択の自由度が大きいため、一様等方な宇宙論的ダイナミクスをΛCDMモデルに近づけるか、あるいは同一にすることができることがわかった。長波長および短波長の極限における宇宙論的摂動の振る舞いを調べ、いずれの極限においても、修正重力の効果は背景進化の修正を通じてのみ現れることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

論文を順調に出版できているため。

今後の研究の推進方策

これまでと同様に計画に則って研究を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で予定していた海外出張を取りやめたため次年度使用額が発生した。次年度に国際会議が開催できれば、出張旅費として使用する。それ以外は当初の予定通りに使用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] SISSA(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      SISSA
  • [国際共同研究] CERN(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      CERN
  • [国際共同研究] Max Planck Inst.(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Max Planck Inst.
  • [雑誌論文] Distinguishing modified gravity with just two tensorial degrees of freedom from general relativity: Black holes, cosmology, and matter coupling2021

    • 著者名/発表者名
      Iyonaga Aya、Kobayashi Tsutomu
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 104 ページ: 1~16

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.104.124020

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Stars disformally coupled to a shift-symmetric scalar field2021

    • 著者名/発表者名
      Ikeda Tact、Iyonaga Aya、Kobayashi Tsutomu
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 104 ページ: 1~13

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.104.104009

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dynamics of inflation with mutually orthogonal vector fields in a closed universe2021

    • 著者名/発表者名
      Murata Tomoaki、Kobayashi Tsutomu
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 104 ページ: 1~10

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.104.083514

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The isotropic attractor solution of axion-SU(2) inflation: universal isotropization in Bianchi type-I geometry2021

    • 著者名/発表者名
      Wolfson Ira、Maleknejad Azadeh、Murata Tomoaki、Komatsu Eiichiro、Kobayashi Tsutomu
    • 雑誌名

      Journal of Cosmology and Astroparticle Physics

      巻: 2021 ページ: 031~031

    • DOI

      10.1088/1475-7516/2021/09/031

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Distinguishing modified gravity with just two tensorial degrees of freedom from general relativity2021

    • 著者名/発表者名
      Tsutomu Kobayashi
    • 学会等名
      8th Korea-Japan workshop on Dark Energy
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Perturbations of black holes in shift-symmetric scalar-tensor theories2021

    • 著者名/発表者名
      Tsutomu Kobayashi
    • 学会等名
      QUARKS ONLINE WORKSHOPS 2021 Modification of Gravity Theories and Observations
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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