研究課題
本研究の目的は整合的な量子重力理論である超弦理論において、弦がプローブする時空に特有の構造を弦理論における双対性を通じて明らかにすることである。本研究では、近年定式化された双対共変な超重力理論であるdouble field theory (DFT)やexceptional field theory (EFT)を用いて超弦理論に特有の時空構造を調査した。最終年度は弦の伝播する時空が持つ幾何構造とモノドロミーの関係に注目し、その数理的構造を調査した。特に、type II理論のexotic 5ブレーン解が持つ一般化された複素構造(generalized complex structure) 、接続(generalized connection)、曲率(generalized curvature)のモノドロミーがT双対変換で与えられることを証明し、このブレーン背景が持つ幾何構造がT-foldの性質を備えていることを示した。また、ヘテロティックDFTにおけるカレント代数を構成し、T双対性とシグマ模型の関係性を明らかにした。研究期間全体を通し、主に以下の成果が得られた。まず、双対共変な対称性に由来するalgebroidの積分を具体的に実行し、大域的な構造として(pre-)rackoidと呼ばれる圏論的対象を発見した。これにより、弦のwinding空間の数学的性質が明らかになり、未解決のコクシグル問題に対して一定の進展が得られた。また、DFTやEFTの解を具体的に構成することで、弦の世界面インスタントン効果が弦の巻きつきに由来する時空間への補正として現れることを明らかにした。さらに、DFTのdoubled形式と一般化幾何学を統一的に扱うことで、時空に内在する(概)複素構造の一般的なT双対変換ルールを書き下した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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