研究課題/領域番号 |
20K03959
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
岡 眞 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, センター長 (60144606)
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研究分担者 |
GUBLER PHILIPP 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (00632390)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ハドロン共鳴 / 複素散乱振幅 / QCD和則 / クォーク模型 |
研究実績の概要 |
ハドロンの不安定な励起状態である共鳴状態の解析のために、複素スケーリング法を適用する研究を進めた。2つの系について模型による解析を行い、複素空間での散乱振幅の解析を行った。まず、チャーム2個と反チャーム2個のチャームテトラクォーク状態では、ポテンシャルクォーク模型による計算に複素スケーリングおよび実スケーリングの両手法を適用して、それらの結果から共鳴の情報を得た。複素スケーリングではスピン-パリティ-荷電共役対称性が$1^{++}$に束縛状態、$2^{++}$に共鳴状態が存在する結果を得た。現在それらの詳しい性質を解析中である。 また、チャームクォークとストレンジクォークで作られる$D_s$メソンの励起状態の構造を調べるために、格子QCDに基づく計算をカイラル相互作用およびクォークペア生成模型による有効ハミルトニアンを用いて解析した。格子QCDとの比較では、有効理論における有限体積効果を取り入れて、散乱状態と共鳴状態を区別することに成功し、その結果、$D_s$メソンの$0^+$, $1^+$の励起状態の構造の解明に成功した。この成果をまとめて、Physical Review Letter誌に発表した。 さらに、カイラル有効理論におけるハドロン分子的共鳴状態と格子QCDのスペクトラムの関連を調べるために、同様の有限体積効果の解析を行い、格子QCDではコンパクトな構造が与えられて、ダブルポール構造は得られないことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、所属研究機関及び本研究に関連する研究機関における研究活動に対する制限や海外への渡航に対する制限が実施されたことにより、研究協力者との研究打合せが当初計画に対して、十分に進まなかったため、研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
過年度に発生した研究の遅れを取り戻すために、国内の研究協力者等との連携強化を図り、オンライン会議等を活用した研究打合せを頻繁に行う等の策を講じて、当初計画の目的を達成できる様に今後の研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、令和2年度から令和3年度に延期した、海外からの研究協力者の招聘、海外で開催される国際会議への出席及び国内における本研究に係る打合せや会議への出席が予定通りに実施することができなかったため、これらに係る費用が次年度使用額として生じることとなったた。次年度使用額は、令和4年度に予定している研究協力者との打合せ等に係る費用として使用する予定である。
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