研究課題/領域番号 |
20K03961
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
金森 逸作 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (60399805)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 格子QCD / マルチグリッドソルバー |
研究実績の概要 |
本研究課題は、アルゴリズムの開発とコード開発の二つの側面を持つ。 コード開発については、昨年度までに開発を進めたフレームワークのGPU向けに移植を進め、性能を評価した。性能については国際会議 CCP2023 や物理学会で報告している。また、前年度までにスーパーコンピューター「富岳」向けにドメインウォール型格子フェルミオンのコードの改良を進めていたが、それを用いた成果も物理学会等で報告している。 ドメインウォール型の格子フェルミオンは、他の格子フェルミオンとは異なり、スペクトラムが正定値ではなく、多くの反復アルゴリズムで収束が保証されない。そのため、通常はフェルミオン演算子を自乗してスペクトラムを正定にしてから方程式を解く。一方で、本来記述したい物理的な自由度のスペクトラムは正定値であり、それを得るための処方箋も知られている。ただ、その際に Pauli-Villars 項として知られている演算子に対する線型方程式を解く必要があり、計算コストが高い。本年度は、後者の線形方程式をノード間の通信を避けながら近似的に解く手法を組み合わせ、スペクトラムをスペクトラムを正定値に近づける手法を試みた。マルチグリッド法では元の系より小さな粗い格子上での系をどのように定義するかが鍵を握る。上記の手法をもとに粗い格子上での演算子を作る方法をいくつか試し、その一つを物理学会で報告した。また粗い格子に移す際に必要な基底の生成についても、いくつか試行錯誤をはじめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
アルゴリズムの試行錯誤に手間取っているため
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今後の研究の推進方策 |
マルチグリッド法を用いたソルバーアルゴリズムの細部について、いくつかの実装とテストを繰り返し最適なものを見つけ出す。部品となる粗い格子上でのソルバー・元の格子上でのソルバーの振る舞いを見るに、現状ではマルチグリッド法としては機能しているとは言い難い。系を粗い格子にマップする際には、フェルミオン演算子だけでなく射影に用いる基底も重要であり、この基底の選び方について考察と試行錯誤を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
体調不良で予定していた出張を取りやめた影響が大きい。学会等での成果発表に関わる経費として活用したい。
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備考 |
上記サイトで公開されているコードに、本課題の成果が反映されている。
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