研究課題/領域番号 |
20K03964
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
日野原 伸生 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (80511435)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 不安定核 / 対回転 / 原子核密度汎関数法 |
研究実績の概要 |
中性子過剰不安定核に特有な原子核の対相関の性質を明らかにすることが本研究課題の目的である。 2021年度は対回転慣性モーメントの系統的な計算を行った。引力である対相関が強い系では対凝縮が起こり、基底状態の性質が質的に変化することが知られている。特に、対凝縮に伴って基底状態の束縛エネルギーの系統性に変化が現れる。中性子数と陽子数がともに偶数個からなる偶々核の近傍の、中性子数、陽子数が偶数個異なる同位体の基底状態は基準となる偶々核が対回転励起した集団状態とみなすことができる。この対回転の性質を用いて束縛エネルギーの実験値から得られる指標により、どの同位体で対凝縮が起こっているかを特定し、対凝縮が核図表の全質量領域にわたって広範に実現していることを示した。また、対回転のエネルギーパターンを示さない同位体について、その理由が閉殻構造にあるのか、変形転移にあるのかを分析した。 この指標によって中性子あるいは陽子が対凝縮しているとみなせる既知の同位体は約300程度であり、これら全ての同位体について、対回転の実験観測量である対回転の慣性モーメントを原子核密度汎関数を用いて計算した。実験値との比較を行い、対密度汎関数の密度依存に依存性があることを示した。特に密度依存項によって核表面付近で結合定数が大きくなる対密度汎関数を用いると全質量領域の対回転の慣性モーメントをよく説明できることを示した。 また、荷電半径の計算については奇核が計算できるようにコードの拡張を行い、Fayans密度汎関数を用いた分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対凝縮の有無を判定する指標を用いることで不安定核領域での対相関の性質の解明が進むことが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに荷電半径計算に用いてきたFayans密度汎関数を用いて対回転の慣性モーメントの分析も行い、不安定核を記述する上で重要となる対相関の性質を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
対面での研究会がほとんど開催されず、旅費使用額が計画より少なかった。次年度以降の研究会等への出張旅費に使用する予定である。
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