研究実績の概要 |
本研究では、トリチウム汚染水問題を解決するための糸口として、核種変換によりトリチウムを消失させるための基礎反応であるt+p→3He+n反応を分析し、どの ようなエネルギーで陽子をトリチウムにぶつけるのが変換効率がよいのかを理論的に明らかにするのが主な目標であった。また、そのための手法として、トリプルグローバルベクトル法に微視的R行列理論を組み合わせた核力第一原理計算の手法を用い、スーパーコンピュータ(超並列計算機)を用いた大規模数値計算を行うことにした。本申請では,相互作用依存性など,全角運動量J=0状態の詳細分析を行う一方で、全角運動量J=1とJ=2の場合も同様に計算を行ってきた。これにより,本研究課題で興味のある低エネルギー領域での全断面積を求めることが可能になった。 今年度は、断面積の主成分であることがわかった共鳴状態(2-)の詳細な分析のため、複素座標スケーリング法の適用を行い、共鳴状態の分析を行った。実験的に期待されるt+p閾値の少し上の2-共鳴状態については、予想通り得られたが、完全に収束したと解とはいえず、基底関数をより増やした大規模数値計算を行うか、基底関数を選ぶ手法の改善が必要であることが判明した。。基本的には大幅に基底関数を減らす必要があるので、新たな手法として、量子アニーリング方式の量子コンピュータを基底関数の選択方法として採用した量子機械学習を使う方法を提案し、方法論、及び、技法の開発を行った。
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