研究実績の概要 |
今年度は、環境中性子が大量に存在する状況において陽子捕獲反応がどのような影響を受けるかを調査した。具体的には、2核子間力のスピン3重項成分を用いて環境場一体ポテンシャルを評価した。このポテンシャルの影響下において、炭素12, マグネシウム24, ニッケル58の3種類の原子核が陽子を捕獲する反応の反応率を求めた。 まず自由空間において調査を行った結果、予想どおり、クーロン障壁に阻まれるため、1ギガケルビン程度の温度では、陽子捕獲反応の反応率は極めて小さいことがわかった。このため、中性子捕獲反応が起きるサイトにおいて、これまで陽子捕獲反応は起きないと考えられてきたものと思われる。環境中性子の密度を徐々に大きくしていった結果、炭素12については原子核標準密度の0.75%以上で、マグネシウム24については標準密度の1%以上で、反応率が劇的に増大することが確認された。
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