研究課題/領域番号 |
20K03991
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
石丸 亮 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 上席研究員 (10573652)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 宇宙塵 / ダストセンサ / 超小型衛星 / ベータメテオロイド |
研究実績の概要 |
令和3年度は、前年度までに最適化した設計を反映し製造した膜面型ダストセンサシステムのフライトモデルを弊所の超小型衛星ASTERISCに搭載し、JAXAイプシロンロケットにより軌道投入し運用を開始した。ASTERISCは千葉工業大学惑星探査研究センターの超小型衛星2号機となる3Uキューブサットである。 開発した膜面型ダストセンサシステムのフライトモデルは、32cm×26cmのポリイミド膜面上に8個の圧電素子を配置し、圧電素子からの電気信号を8cm×20cmの基板2枚でサンプリングする構成とした。8個の圧電素子によって同時に取得した信号を解析することで電気的なノイズと粒子衝突イベントを明確に区別することが可能となる。完成したフライトモデルは、大阪大学の静電加速器を用いた較正試験によって、宇宙塵を検出するのに十分な感度を有することが確認された。ダストセンサシステムの開発・製造と並行して、ダストセンサシステム-衛星バスシステム間のデータ処理や制御を担うMPUの設計・開発を行った。MPUの主な機能は、地上から送られたコマンドのデコード、観測装置を含む各コンポーネントの制御、観測装置が取得したデータのエンコードと地上へ送信するテレメトリデータの生成などである。 衛星アセンブリ後の最終的な総合試験を経て、膜面型ダストセンサシステムを搭載したASTERTISCは2021年8月19日にJAXA内之浦宇宙空間観測所に引き渡され、2021年11月9日にイプシロンロケット5号機により打ち上げられた。投入軌道は高度560kmの太陽同期地球周回軌道である。軌道投入後のクリティカル運用においてバスシステムが正常動作していることを確認している。その後の初期運用において膜面型ダストセンサを展開し、試験観測中ではあるが軌道上粒子の観測に初めて成功(膜面型ダストセンサの技術実証成功)している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、膜面型ダストセンサシステムを搭載する超小型衛星ASTERISCの製造、ロケットによる軌道投入・打ち上げ、膜面型ダストセンサの軌道上技術実証に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
千葉工大局等の地上局を用いて超小型衛星ASTERISCの運用を実施し、軌道上の粒子の長期観測および取得したデータの解析を行う。
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