宇宙から地球に飛来する陽子や原子核の荷電粒子である超高エネルギー宇宙線の起源や加速機構は未だ謎である。この謎に迫るため、Cherenkov Telescope Array(CTA)計画の大口径望遠鏡(LST)4基のステレオ観測によって、超高エネルギー宇宙線源候補天体の活動性を、20 GeVから1 TeV程度までのエネルギー帯のガンマ線観測で高頻度に捉えるための準備研究を行った。LST1号基は2018年10月に、CTA北サイトのカナリー諸島のラ・パルマ島に完成し観測を開始したが、2021年9月下旬から12月中旬までラ・パルマ島の火山噴火が継続し、観測が中断され、2022年春から観測が再開された。2022年度から残り3基の建設が開始され、2024(令和6)年5月現在、順調に建設作業が進んでいる。 本年度は、いままで行ってきたライトガイドの性能評価を、大口径望遠鏡の焦点面カメラモジュールの論文の一部として発表できるように、測定データを再解析し結果をまとめる作業に集中した。紫外線310 nmから可視光650 nmまでの9波長のLED光源を使って、LST1号基用とLST2-4号基用のライトガイドを光電子増倍管(PMT)に取り付けた上で、暗室で回転測定を行い、各波長での集光効率の角度依存性を測定した。この測定値と、空気シャワーによって生成されたCherenkov光のスペクトルと主鏡の反射率の波長依存性を考慮して、LST1量産品のライトガイドの平均集光効率が84%に対して、LST2-4量産品のライトガイドは88%という最終結果を得た。論文の草稿はグループ内のレビューを受け、投稿準備を整えつつある。
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