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2022 年度 実施状況報告書

軽いアクシオン的粒子探索のためのモノリシックピクセル検出器を用いた光検出器の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K04004
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

田窪 洋介  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (50423124)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードモノリシック型ピクセル検出器 / シリコン・ゲルマニウム技術 / 新粒子 / FASER / LHC / アクシオン
研究実績の概要

本研究は、2022年から欧州原子核研究機構(CERN)で開始したFASER実験において、アクシオン的粒子(ALP: Axion Like Particle)を探索するためにシリコン・ゲルマニウム(SiGe)-BiCMOSモノリシック型ピクセル検出器を用いた前段シャワー検出器の開発を目指している。本科研費で行う研究事項は、「ピクセル検出器に使用する基板類の開発」と「データ収集システム用ソフトウェアの開発」によって前段シャワー検出器を実現させることである。令和4年度の研究実績の概要は以下のとおりである。

* ピクセル検出器に使用する基板類の開発:前段シャワー検出器では、6センサーをフレキシブル基板(モジュール基板)に接着してモジュールとし、12モジュールを使用して1レイヤーとする。各モジュールにはピッグテールと呼ばれるフレキシブル基板が接続される。そして、ピッグテールをデータ収集システムや電源に接続するためのインターフェース基板を使用する。本研究では、モジュール基板、ピッグテール、インターフェース基板の開発を行う。令和4年度はモジュール基板とピッグテールのプロトタイプを製造した。そして、プロトタイプ・センサーとこれらの基板を用いてプロトタイプ・モジュールを作成し、性能評価試験を行った。その結果、これらの基板は当初の性能を達成していることが分かり、令和5年度に実機用の基板類を開発することになった。

* データ収集システム用ソフトウェアの開発:前段シャワー検出器の開発のために、モジュールやレイヤーを試験するためのデータ収集システムの開発を行う必要がある。本科研費では、システム制御を行うためのソフトウェアを開発する。令和4年度は、プロトタイプ・モジュールを試験するためのソフトウェアを開発し、性能評価試験に使用した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナの影響や世界的な半導体不足、センサーを製造している研究協力機関においてセンサーの製造装置の故障が発生し、前段シャワー検出器の開発は半年ほど遅れが生じている。しかし、これらの問題は既に解消されている。また、本科研費で開発を行うことになっている基板類については、技術的問題は発生していないので、本科研費の目的である前段シャワー検出器の実現は達成できる見込みである。

今後の研究の推進方策

本研究は令和4年度までを予定していたが、研究の遅れに伴い令和5年度まで延長することにした。令和5年度は、前段シャワー検出器の実機のための基板類の開発を行い、実機用モジュールとレイヤーの製造を開始する。また、データ収集のためのソフトウェアは、プロトタイプ・モジュールの試験のために開発したものを実機用に拡張する。

次年度使用額が生じた理由

プロトタイプ・センサーを研究協力機関で製造している過程で、製造装置に不測の故障が生じ、プロトタイプ・モジュールの作成に遅延が生じた。それに伴って、本科研費で開発を行う実機用の基板類の製造も遅れたため、次年度に残額を使用することにした。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] CERN/ジュネーブ大学(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      CERN/ジュネーブ大学
  • [雑誌論文] Search for lepton flavor violating decay at FASER2023

    • 著者名/発表者名
      Araki Takeshi、Asai Kento、Otono Hidetoshi、Shimomura Takashi、Takubo Yosuke
    • 雑誌名

      Journal of High Energy Physics

      巻: 2023 ページ: 1と25

    • DOI

      10.1007/JHEP01(2023)145

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Search for axion-like particles with electron and positron beams at the KEK linac2022

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa Akimasa、Sakaki Yasuhito、Takubo Yosuke
    • 雑誌名

      Progress of Theoretical and Experimental Physics

      巻: 2022 ページ: 1と13

    • DOI

      10.1093/ptep/ptac129

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The tracking detector of the FASER experiment2022

    • 著者名/発表者名
      Abreu Henso、Yosuke Takubo, et. al.
    • 雑誌名

      Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment

      巻: 1034 ページ: 166825~166825

    • DOI

      10.1016/j.nima.2022.166825

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] High-energy neutrino measurements with FASERnu2022

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Takubo
    • 学会等名
      ICHEP2022
    • 国際学会
  • [学会発表] LHC-FASER実験における新粒子探索に向けたデータ取得の状況とアップグレード計画2022

    • 著者名/発表者名
      田窪洋介
    • 学会等名
      日本物理学会
  • [備考] FASER Japan

    • URL

      https://faser.kek.jp/

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公開日: 2023-12-25  

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