研究課題
本年度においては実用に向けてシステムの改良を進め完成度を高めるとともに、実際の物理実験のデータの取得を行うことを目標に研究開発を進めた。まず、J-PARC ハドロンホール K1.8 BR ビームラインに置かれた J-PARC E50 実験のための検出器群に対しストリーミングデータ収集を適用しデータ収集を行った。この試みによりシステムの問題の洗い出しおよび解決と共にソフトウェアトリガープロセスの汎用化を行った。次に昨年度の研究成果である大阪大学核物理センターのスペクトロメータGrand Raidenの焦点面検出器の読み出しを発展させる形で実際の原子核実験を行うシステムの開発を行った。ソフトウェアスケーラーの導入やプリスケールされたアンバイアスデータの記録、そしてオンラインモニタ、など通常の処理から枝分かれするようなある程度複雑な構成のデータ収集システムを開発し実験データの収集をおこなった。データ収集は成功し、今までの約40倍の速度でデータを取得することが出来た。機能的にはストリーミングデータ収集システムのソフトウェアは初段の読み出し部においてタイムフレーム番号をイベント番号と見立てることにより、トリガー型データ収集にも適用可能である。トリガー型読み出し機器が稼働している J-PARC E21 COMET 実験で用いられる円筒型ドリフトチェンバー検出器に対しストリーミングデータ収集ソフトウェアの適用を試みた。機器読み出しプログラムの開発を行い、タイムフレーム番号の代わりにイベント番号を使用することで、特に問題なく高速にデータ収集出来ることを確かめることが出来た。これらの実績により本研究の目的である、複数の計算機上の分散処理によるストリーム型データ収集システムの開発およびソフトウェアによるイベント分別処理の実現と粒子線計測において適用可能であることを示すことが出来た。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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