本研究は,銀河内部において恒星の材料となる星間ガスの質量を空間分解した上で正確に測定し,星生成率,ガス質量,星質量の間の関係を定量化することを目的とした。複数の銀河の観測データを用いて調べた結果,ミリ波の一酸化炭素分子のスペクトル線強度から水素分子の量を推定する変換係数が銀河内部の領域によって異なること,その結果,星の生まれやすさの指標となる星生成効率が,従来知られていたよりも分散が小さくなることが明らかになった。また,分子ガスのうち,分子雲を取り巻く希薄な成分は星生成には直接寄与せず,分子ガス全体に対する分子雲成分の割合が星生成効率を規定している可能性があることを見出した。
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