最終年度は主に白色矮星の自転に由来する測光ライトカーブの理論モデルの構築とそれを用いた白色矮星ZTF J190132.9+145808.7の測光ライトカーブの変動解析を行い、ZTF J190132.9+145808.7の表面磁場が単純な双極磁場とは異なり、磁軸中心が星の中心からずれたいわゆるoff set dipole磁場であるという示唆を得た。ZTF J190132.9+145808.7は通常の白色矮星に比べ、質量、磁場強度が共に大きく、回転周期も非常に短いため連星白色矮星合体残骸であると考えられているが、我々の解析結果はこの説を独立にサポートする。 また、2021年度までにTomo-e Gozenカメラを用いて取得した1 Frame-per-second(fps)の動画データを解析し、およそ6000個のMdwarfから総計約300[Mdwarf日]の測光ライトカーブを取得、その中から立ち上がり時間が2分以内の超高速フレアを23個検出した。これらのフレアの多くは、従来の可視域で報告されているフレアと比べ、より短時間でより大きな増減光を示している。23のフレア母天体のうち12天体においてLAMOSTの分光データが存在し、うち11天体で強いHα輝線が観測されていることから、超高速フレアが従来のフレア同様に活動的な星で起きやすい可能性が高いことを確認した。 研究機関全体を通し、WD J005311をはじめとする連星白色矮星合体残骸天体の性質、特に、これらの天体から吹く強い星風の起源と星周環境に与える影響について理論的に計算するためのフレイムワークを構築することができた。また、Tomo-e Gozenカメラの1 fps動画データからおよそ18等までの明るさの星の測光ライトカーブデータを抽出するパイプラインを構築することができた。
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