研究課題
本計画で進めている広視野望遠鏡は、現在はMITSuME岡山50cm望遠鏡のドーム内に設置しており、50cm望遠鏡が遮ることで観測視野に制限があるため、東京工業大学谷津研と協力して明野観測所に新設するスライディングルーフ内で運用する計画を進めている。本年度は、スライディングルーフの電気、ネットワークケーブルの設置を行い、ルーフ開閉ができることを確認した。また、可視光g, zバンドでの同時観測や重力波などの位置決定精度が悪い突発天体の天域探査を効率的に行うために、広視野望遠鏡2号機の設置準備を進めた。望遠鏡制御、観測スケジューラーは1号機用に開発したソフトウェアを使用することで問題ないことを確認した。研究期間全体では、MITSuME明野50cm望遠鏡に対して一次処理から突発天体識別AIまでの一連の処理を行う突発天体検知パイプラインを実現し、実際の観測に組み込み運用を開始した。突発天体識別性能に関しては、MITSuME明野50cm望遠鏡で観測されたガンマ線バースト約20天体の観測画像に適用して性能評価をおこない、突発天体の信号雑音比が10以上の場合は誤検知数を1日あたり500回に抑えつつ突発天体を97%識別できる性能であることがわかった。また、重力波など到来方向の位置決定精度が悪い突発天体の追観測を目標に進めてきた広視野望遠鏡計画については、ソフトウェア、カメラの性能評価などを進めて計画期間内に自動観測を実現した。本計画中に位置決定精度がよい重力波事象の検出がされなかったため、広視野望遠鏡では銀河系内の天体の観測を中心に観測を進めた。
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