研究課題/領域番号 |
20K04013
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
秋田谷 洋 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 上席研究員 (60450186)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 偏光観測 / 可視光赤外線 / 観測装置 / 光学望遠鏡 |
研究実績の概要 |
本研究は、広島大学宇宙科学センターが運用する東広島天文台かなた望遠鏡の観測装置HONIR(オニール)に、新規に可視光光学フィルターを設置し、それを用いて、近傍分子雲方向の星間偏光をマッピングすることを目指している。 第2年度となる今年度は、光学フィルターの製作とその設置を行う計画であった。しかし、新型コロナウィルスの感染予防に係る研究活動の制限や希少素材・部品の世界的な不足の状況により、これらの予定していた作業を完了することはできなかった。これらは、翌年度繰り越して実施する。 一方で、本研究の推進の上では、現在かなた望遠鏡に定常的に装着されて利用されている観測装置HONIRを、少なくともいずれ本研究の観測研究に用いる時点までの間、正常に維持し続けることが欠かせない。これについては、かなた望遠鏡グループとの共同研究体制を維持し、以下のように進めた。 (1) 観測装置HONIRの環境整備や不具合ついて、現地スタッフへの助言や現地に出張して適切に処置した。(2) 同装置データ解析ソフトウェアの開発。例えば、最新のPython言語を用いた検出器画像の一次処理ツールの作成・ユーザーへの配布。(3)本課題と類似の偏光観測研究の実施を通じた、装置性能の評価と確認。例えば、小惑星Phaethonの偏光観測を通じて装置の偏光観測精度が安定して良好であることを確認した。 結果として、同装置の維持は問題なく達成できており、本課題を遂行するために最重要となる観測機器環境の維持に成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、東広島天文台かなた望遠鏡用観測装置HONIRに設置する光学フィルター3枚の製作・購入を行い、同装置への設置を行うことを計画していた。 しかし、世界的な希少素材・部材の供給不足(コロナ禍等の国内外の厳しい情勢に起因すると推察される)が発生する状況で、フィルター3枚の製作・購入を年度内の決済・納品にて実施することは困難と判断した。よって、続く次年度に遅れて実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
光学フィルター3枚の製作・購入する。また、それらのフィルターを設置するためのジグを製作する。これらを、東広島天文台かなた望遠鏡観測装置HONIRの筐体内に設置し、天体の観測に供することができる状態にする。ここまでは2022(令和4)年度に完了する。 その後、これらのフィルターを用いて、東広島天文台かなた望遠鏡にて星形成領域の観測データを取得する。 データ解析に必要なソフトウェア開発はこれまでも進めてきたが、2022年度も引き続き推進し、観測に先んじて準備を整える。一方で、観測データの取得には、東広島天文台側との調整による望遠鏡時間獲得が必要となり、必ずしも年度内にデータ取得が完了するかどうかの見通しはまだはっきりしない。また、データ取得後の解析・成果とりまとめにも、少なくとも観測終了後半年程度は要する。よって、ここで述べた項目の遂行の時間的猶予が少なくなる場合は、事業期間の延長も視野に置いて、研究計画目標の確実な遂行を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に引き続き、新型コロナウィルスの感染予防に係る研究活動の制限、さらには世界的な材料・部品の供給不足の発生により、予定していた物品の購入や海外研究会出張等を行うことができなかった。これにより、計画全体を遅らせて推進することとなり、次年度使用額が生じた。 次年度には、これまでに予定していた光学フィルターの製作・購入とその保持器具の製作・購入に充当する。
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