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2020 年度 実施状況報告書

超高空間分解能観測を基軸とした活動銀河核構造マルチスケール探査

研究課題

研究課題/領域番号 20K04029
研究機関京都産業大学

研究代表者

岸本 真  京都産業大学, 理学部, 教授 (00733354)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード宇宙物理 / 光学赤外線天文学 / ブラックホール
研究実績の概要

本研究は,様々な銀河の中心の巨大ブラックホールへの質量降着及び中心からの質量放出現象を,0.1 pc から100 pc のマルチスケールにわたって探査するものである。このような巨大ブラックホール系は「活動銀河核」と呼ばれている。

本年度はまず,10 - 100 pc スケールにおける3次元構造を,データから直接再構築する方法の確立を行なった。100 pc スケール程度以下において,各ガス雲の速度が,銀河中心の巨大ブラックホールからの距離に比例することを仮定すると,高空間分解能撮像分光データから,ガス雲の3次元幾何学的分布を直接求めることができる。この際,速度と距離の間の比例定数を決める必要があるが,これも,我々の視線方向が特別なものではないと仮定すると求めることができる。この方法を,活動銀河核を持つ近傍の明るい銀河 NGC1068 に実際に適用すると,極方向に「中空のコーン状の領域」が広がっていることが浮かび上がってくる。こうした結果と,0.1 - 10 pc における最近の赤外・サブミリ波干渉計の結果とをあわせて,0.1 pc から 100 pc のスケールにわたって,中心核から離れるにしたがって,中心核から見込む角度が極方向に向かって高くなっていくような(いわゆる flaring geometryの)中空構造を推測するに至った。本年度は,本研究の基礎となるこうした幾何学的構造と速度場構造を整理し,Astrophysical Journal に投稿論文としてまとめた (Miyauchi & Kishimoto 2020, ApJ, 904, 149)。

一方,0.1 pc スケールに対しては,チリの近赤外干渉計装置 GRAVITY を用いて,南天の明るい活動銀河核 IRAS09149-6206 の高速回転ガス雲の構造について,点対称からのずれ/偏りを検出した(GRAVITY Collaboration et al. 2020, A&A, 643, A154)。これは今後の画像再合成の足掛かりとなるものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年度はコロナ禍により4月および8月のチリでの中間赤外干渉計観測が中止となってしまった。また,同様にコロナ禍でカリフォルニアのCHARA干渉計における超低ノイズ近赤外検出器の導入計画も1年遅れとなってしまっている。

今後の研究の推進方策

中断していたチリでの観測が再開され,2021年4月と8月に,中間赤外干渉計を用いた観測を予定している。また,同じく2021年4月に,カリフォルニアのCHARA干渉計を用いた近赤外観測を予定している。全てリモート観測となるが,これらで複数のデータを確保し,0.1 - 10 pc スケールの探査を推進する予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度はコロナ禍で観測が中止となり,予定していた旅費支出が無かったため。次年度以降の複数の観測旅費として執行予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] University of Southampton(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Southampton
  • [国際共同研究] Max Planck Inst. Extraterrestrial Phy./European Southern Observatory(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Max Planck Inst. Extraterrestrial Phy./European Southern Observatory
  • [国際共同研究] University of California, Santa Barbara/Georgia State University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of California, Santa Barbara/Georgia State University
  • [国際共同研究] University of Chile/European Southern Observatory(チリ)

    • 国名
      チリ
    • 外国機関名
      University of Chile/European Southern Observatory
  • [国際共同研究] Observatoire de la Cote d’Azur(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Observatoire de la Cote d’Azur
  • [雑誌論文] Velocity-inverted Three-dimensional Distribution of the Gas Clouds in the Type 2 AGN NGC 10682020

    • 著者名/発表者名
      Miyauchi Ryuji、Kishimoto Makoto
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 904 ページ: 149~149

    • DOI

      10.3847/1538-4357/abc264

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] The spatially resolved broad line region of IRAS 09149-62062020

    • 著者名/発表者名
      GRAVITY Collaboration、Amorim A.、Bauboeck M.、Brandner W.、Clenet Y.、Davies R.、de Zeeuw P. T.、Dexter J.、Eckart A.、Eisenhauer F.、Foerster Schreiber N. M.、Gao F.、Garcia P. J. V.、Genzel R.、Gillessen S.、Gratadour D.、Hoenig S.、Kishimoto M.、et al.
    • 雑誌名

      Astronomy & Astrophysics

      巻: 643 ページ: A154~A154

    • DOI

      10.1051/0004-6361/202039067

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Infrared polarimetry of AGNs2020

    • 著者名/発表者名
      Makoto Kishimoto
    • 学会等名
      AGN and Polarimetry
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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