研究課題/領域番号 |
20K04038
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上野 悟 京都大学, 理学研究科, 助教 (70303807)
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研究分担者 |
一本 潔 京都大学, 理学研究科, 教授 (70193456)
浅井 歩 京都大学, 理学研究科, 准教授 (50390620)
永田 伸一 京都大学, 理学研究科, 助教 (30362437)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 宇宙天気研究 / 太陽フレア / フィラメント噴出 / プロミネンス噴出 / 国際地上観測ネットワーク |
研究実績の概要 |
我々は太陽の爆発現象を24時間監視できるよう、海外適地に太陽から爆発噴出したガスの速度を3次元的に測定できる特徴的な太陽観測望遠鏡を設置し活用する、国際地上観測ネットワーク事業(CHAIN project)を推進しており、現在、日本・ペルー・サウジアラビアの3地点で観測を行なっている。 ただ、現状は日本以外の太陽望遠鏡では測定できる噴出物の速度に上限があるため、当事業では、日本の夜間に発生した現象に対しても、より高速化した噴出プロセス後半まで追跡することができるよう、日本から研究者が現地に赴き、海外観測所でも高速爆発現象の観測が定常的に行なえるよう太陽分光器を利用した観測装置を増強し、太陽の爆発が周囲に伝播して行く様子とその影響を、より正確に国際共同研究していく計画を進めている。 しかしながら2021年度、これら3か国を含めた世界中の新型コロナウィルス感染蔓延が想定以上に長期化し、1年に渡ってペルーやサウジアラビアに渡航できる飛行機は全て運休の状態が続き、日本から研究者が現地に渡航することは叶わず、装置増強に係る作業を進めることはできなかった。 そこで、2021年度は、他経費により調達した装置改良に必要な物品を、予めペルー国に輸送し、次年度に我々が渡航した際に速やかに作業に取り掛かれるよう、電子メールなどのインターネットを利用することで、現地研究者らに必要最低限のセッティングを進めてもらったり、既存の観測装置での観測を継続してもらい、得られたデータを用いた国際共同研究を進めたりすることに注力した。 交付された経費については、主に上記の過程で協力してもらった現地若手研究者に対する謝金として活用し、残金は次年度の渡航費として確保することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述のように、当事業では、日本から研究者がペルーやサウジアラビア現地に直接赴き、海外観測所における観測装置を増強することで、太陽の高速爆発現象の観測が定常的に行なえるようにすることが重要な柱となっているため、世界的な新型コロナウィルス感染蔓延の長期化によって、前年度に引き続き、この1年に渡って海外渡航ができない状態が続いたことが、直接的にこの事業の進捗の遅れとなって影響している。
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今後の研究の推進方策 |
既存の海外観測装置を用いた太陽爆発現象の観測継続とその支援(謝金を支出)、およびそれらによって得られたデータを用いた、オンラインベースでの国際共同研究は引き続き継続していく。 一方、次年度は新型コロナウィルスの影響が低下し、研究者の海外渡航も可能となる見通しのため、海外観測所現地における観測装置増強作業についても、条件が揃い次第開始する。 しかしながら、装置増強作業が当初計画よりも約2年遅れることになる見込みのため、それを用いた科学成果創出を次年度中に完遂できるかどうかは不透明である。次年度末までに間に合わない可能性が出た場合は、当初3年間としていた当事業の実施期間を、延長することも検討が必要であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のように、2021年度は新型コロナウィルスの世界的流行の影響で、ペルーおよびサウジアラビアへの渡航が不可能な状態が1年を通じて続いたため、当初予定していた外国旅費を執行する機会を得ることができなかった。 この経費については、2022年度、新型コロナウィルスの状況が好転した後、事業の進捗の遅れを取り戻すために、海外渡航の回数や渡航人数を増やして事業を推進する際に使用を予定している。
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