研究課題
本研究の目的は、地球や月の周回探査機による質量分析データを利用して各天体に対して放出及び供給される物質に関連する現象を解析し、地球・月系に起きている物質輸送を明らかにすることである。モデル化と連動して物理機構を制約することを発展的な目標とする。1年目の令和2年度から、ジオスペース探査機「あらせ」の観測データから地球から散逸する成分に着目して、主要な酸素イオンに加えて窒素イオンや分子イオンを定量的に同定する手法を開発した。窒素イオンや分子イオンは供給源となる地球電離圏の領域を示す情報となることを利用し、磁気嵐の経過とともに電離圏の供給源が次第に低高度・低緯度に移ることを統計的に示した。本研究で作成した窒素イオンや分子イオンを抽出するツールを「あらせ」の観測データ解析に広く利用できるように、標準化の整備も行った。月探査衛星「かぐや」の観測データを利用して、天体からの放出されるイオンのうち難揮発性元素の放出量の分布を調査し、天体物質が始原的か進化を受けたかを区別できることを示した。この結果を、開発中の火星衛星探査計画(MMX)用質量分析器の科学目標に関する論文の一部として利用した。運航中の水星探査機BepiColombo用質量分析器の観測計画にも反映させ、金星フライバイ観測で得たデータの解釈に利用した。以上の成果は、筆頭著者として一つの誌上発表と五つの学会発表となった。また、一つの修士論文と約20本の共著論文にもなった。更に筆頭著者として二つの論文を準備中である。数値モデルを利用した物理機構の制約に幾つか未完の研究テーマが残ったが、MMX計画での将来観測への課題に繋がることが明らかとなった。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 7件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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