地球や月の周回探査機による質量分析データを利用して、地球・月系に起きている物質輸送の評価を行った。ジオスペース探査機「あらせ」の観測データから、地球から散逸する酸素イオンに加えて窒素イオンや分子イオンを定量的に同定する手法を開発した。算出した散逸イオンの組成比を利用し、磁気嵐の経過とともに電離圏の供給源が次第に低高度・低緯度に移ることを示した。月探査衛星「かぐや」の観測データを利用して、放出される難揮発性元素イオンの放出量の分布を調査し、天体物質が始原的か進化を受けたかを区別できることを示した。この結果を、開発中の火星衛星探査計画(MMX)用質量分析器による観測計画検討に利用した。
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