研究課題/領域番号 |
20K04051
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研究機関 | 一関工業高等専門学校 |
研究代表者 |
谷川 享行 一関工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30422554)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 惑星 / 円盤 / 数値流体シミュレーション / 自転 / 角運動量 |
研究実績の概要 |
本研究では、ガス惑星の自転軸の起源を探るため、中心星(太陽)まわりのガス円盤(原始惑星系円盤)の中で円盤ガスを捕獲しながら成長する惑星について調べる。具体的には、惑星が原始惑星系円盤からの降着により捕獲したガスの角運動量ベクトルの向きと大きさを調べることで、惑星自転軸がガス降着によりどのような影響を受けるかを、主に数値流体シミュレーションを用いて検討することを目的としている。数値流体シミュレーションには、近年実用化されたメッシュフリー法(GIZMO)を用いる。この方法は、メッシュ法で問題となる数値拡散(メッシュを流体が横切る際に生じる各物理量の人工的な拡散)は小さく、かつ粒子法で問題となるシア流に対する数値粘性も小さい、という、両者の長所を併せ持き、本研究には最適な手法である。今年度は、このメッシュフリー法を用いるにあたって、特有のデータの設定の仕方、特に密度の初期条件の設定方法について検討している段階にある。具体的には、非メッシュ法の場合、密度が低い領域の記述が難しく、メッシュフリー法も基本的には同様の問題がある。本研究においては、円盤の中心面から大きく離れた領域の密度をメッシュフリー法においてどのように表現するのがより良いかを検討する必要がある。この点についてどのようにクリアーすべきかを、粒子法に詳しい研究者と相談している段階である。シミュレーションを行う計算機環境について、(ローカル環境・外部のスーパーコンピュータの環境)は順次整えつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学内業務の急増(特に新型コロナウイルス感染症対策)のため、研究に割ける時間が想定より大幅に少なく待ったため。研究自体に困難が発生して遅れているわけではない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、計算機環境の構築を進める。特に、ローカルでのテスト計算環境と、外部のスーパーコンピュータでの本計算環境について、整える。 次に、初期条件を作成する。3次元円盤の密度構造を非メッシュ法で設定するのは技術的に難しいことが知られているので、惑星が無い状態のテストを行い、安定的に計算が進むことを確認する。 その後、新しい数値流体計算コードにおいて、過去の計算結果を再現できるかを確認する。 その際、惑星の軌道は円軌道を仮定して行う。 以上が進めば、本計算において調べるべき2つのパラメータ(惑星軌道の離心率・軌道傾斜角)の内、より研究が行われている離心率依存性を調べ、過去の研究と比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、予定していた全ての出張を伴う研究打合せを行うことが出来なかったため、旅費が0になり、支出額の合計が予定より大幅に減ったことが、次年度使用額が生じた理由である。 対面で研究討論を行ったり、研究会や学会にて大勢の人と直接議論することは欠かせないため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まったら出張を再開するつもりではいるが、今年度以降解消されるかどうかは不透明であり、今年度も旅費の支出は少なくなることが予想される。
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