研究課題/領域番号 |
20K04052
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
小川 泰信 国立極地研究所, 国際北極環境研究センター, 准教授 (00362210)
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研究分担者 |
加藤 雄人 東北大学, 理学研究科, 教授 (60378982)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 超高層大気 / 降下粒子 / 電離圏 / 寒冷化 |
研究実績の概要 |
宇宙空間・磁気圏から地球に降り込む電子の影響を活用した超高層大気の質量密度の新たな計測手法を確立することにより、超高層大気の寒冷化や沈降などの長期的変化の描像を明らかにすることを目的として、令和2年度には以下の準備を中心に実施した。 (1)EISCATレーダーとDMSP衛星の同時観測イベントの抽出及びリスト化。これまでに、1995-2005年のEISCATレーダー観測時における複数のDMSP衛星(衛星番号:F12,F13,F14,F15)の飛翔軌道データを基にして、同時観測イベントの抽出作業を実施した。さらに、約40年間に渡る長期変動を明らかにするために必要となる、1982年12月から現在までのすべての同時観測イベント抽出に必要な各種準備を令和2年度に進めた。 (2)EISCATレーダーから得られる電子密度の高度分布と、DMSP衛星による降下電子エネルギー分布の比較。(1)で得られた EISCAT-DMSP 同時観測イベントについて、電子密度高度分布と降下電子エネルギー分布のデータベースを構築する準備を進めた。さらに、一部の同時観測イベントを用いて、30 eV - 30 keV の電子エネルギースペクトル観測結果に基づく数値シミュレーションを実施する準備を行った。その数値シミュレーション結果と、EISCATレーダーから得られた電子密度高度分布の観測結果との比較に基づき、超高層大気の大気質量密度の高度分布を推定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度に予定していたEISCATレーダーとDMSP衛星との同時観測イベントの抽出については、約半分の観測期間のデータに対して実施することに留まった。その主な理由として、COVID-19感染拡大防止の状況に関連して、データベース作成のために必要となる物品調達が遅れていることが挙げられる。そのため、現在の状況下で実施可能なデータベース作成のための準備を、令和2年度に集中的に実施した。その具体例の一つとして、地上のEISCATレーダー観測地点に対するDMSP飛翔領域の条件設定と同時観測イベント数との関係の把握が挙げられる。EISCATレーダーとDMSP衛星との同時観測とみなせるイベントの数は、EISCATレーダーの観測地点に対するDMSP衛星の飛翔領域の経度幅及び緯度幅の条件設定により大きく変わる。本研究を実施する上で、どの程度の経度幅及び緯度幅を条件として設定することが適切かを令和2年度に試行錯誤することにより、その条件設定と同時観測イベント数との関係を具体的に把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度に進めたEISCAT-DMSP同時観測イベント抽出の準備内容に基づき、1982年12月から現在までのすべての同時観測イベントを抽出し、リスト化する。その情報を基に、電子密度高度分布と降下電子エネルギー分布のデータベースを構築する。さらに、30 eV - 30 keV の電子エネルギースペクトル観測結果に基づく数値シミュレーションを実施し、その結果と電子密度高度分布の観測結果との比較を経て、超高層大気の質量密度を推定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大防止の状況に関連して、データベース作成のために必要となる各種の物品調達が遅れたため、令和3年度に調達を進める予定である。
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