研究課題/領域番号 |
20K04056
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
簑島 敬 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(数理科学・先端技術研究開発センター), 副主任研究員 (00514811)
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研究分担者 |
松本 洋介 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任准教授 (20397475)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プラズマ粒子シミュレーション / ブラソフシミュレーション / イオン音波不安定 |
研究実績の概要 |
本研究は、宇宙プラズマにおける高エネルギーイオン加速問題に取り組むために、質量が軽く熱い電子の速度分布は連続体として、重くて冷たいイオンは粒子として扱い、大規模第一原理プラズマシミュレーションを実現する新しい数値計算手法を開発する。そして太陽地球圏のイオン加速現場である無衝突衝撃波や磁気リコネクションを想定した数値計算を実行して、これらの現象におけるイオン加速機構を明らかにすることが目的である。 令和二年度は、主に数値計算コードの開発を行った。研究代表者がこれまで開発してきた速度分布を連続体として扱うブラソフコードに、研究分担者がこれまで開発してきた粒子コードを統合した。プラズマシミュレーションのベンチマークテスト(ランダウ減衰、二流体不安定や電磁波動伝播など)を通して、開発したコードの性能を評価した。本手法は電子をブラソフコードで解くので、粒子コードに特有の電子熱雑音に起因する数値ノイズが発生せず、特に電磁成分に関しては、通常のブラソフコードと同程度の高解像度計算結果をおよそ半分の計算コストで得た。一方で静電成分に関しては、イオンを粒子コードで解くことによる数値ノイズの影響が残った。さらにテスト問題として、ブラソフコードでは実行が難しいイオン音波不安定のシミュレーションを実施し、理論と整合的な結果を得た。これらのテストにより、本手法が冷たいイオンと熱い電子の取扱いに適した手法であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数値計算コードの開発は順調に進み、性能評価を行った。 ただし、並列計算機向けの並列化が完了しておらず、大規模計算が必要な無衝突衝撃波のプロダクトランを実施できなかった。 以上より、本研究課題の進捗状況はやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
まずは数値計算コードの並列化を完了し、大型計算機上で計算を実行して、計算性能を評価する。 その後、1次元無衝突衝撃波のプロダクトランを実施して、イオン加速機構や加速効率のパラメータ依存性を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 数値計算コード開発と性能評価のためにワークステーションと解析ソフトウェアを購入する計画だったが、令和二年度の研究遂行に関しては既存の資産で間に合った。 (使用計画) 令和三年度の研究計画遂行のために、ワークステーションと解析ソフトウェアの購入に充てる。
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