本研究では、亜寒帯海域起源の下層冷気が日本周辺の2つの極端現象の発生に与えた影響の解明に取り組んだ。まず、2019年7月の低温事例については、太平洋の沖合から北日本・東日本に向かって、下層冷気が吹き寄せていた。特に、仙台平野から関東平野にかけて、冷気の進入と蓄積が顕著であった。次に、2018年7月上旬の豪雨事例について、下層冷気の分布と変動を解析した。豪雨期間の前半は、オホーツク海から日本海に下層冷気が流入していたが、後半は、下層冷気は北海道の南を回って日本海に流入していた。本研究により、日本周辺の夏季気候に対する、亜寒帯海域起源の下層冷気の役割を明らかにすることができた。
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