研究課題/領域番号 |
20K04059
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松村 義正 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (70631399)
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研究分担者 |
黒木 聖夫 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報基盤センター), 准研究副主任 (40512843)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 粒子追跡 |
研究実績の概要 |
本研究課題は 1) 膨大な数の粒子を扱うことを可能とする並列粒子追跡数値コード 2)500m以下の解像度で日本近海全域をカバーする高解像度海洋数値モデルの流動場データ の2つを用いて始点を限定しない網羅的な粒子追跡を実施して記録することで、様々な応用研究用途で再利用可能なデータベースを構築することを目的としている。 1)について、昨年度までにほぼ開発を完了しているが、粒子の酔歩によって拡散効果を表現する際に、特に異なる計算機上で乱数生成方法に統一性がなく、拡散を伴う粒子の軌跡を繰り返し再現できないという問題があった。本年度にZigguratアルゴリズムを用いた高速正規乱数コードを独自実装し、この問題を解決した。 開発した粒子追跡コードを用いて、太平洋全域の深層水の流路・流量の定量化 (Kawasaki et al., 2022)、洪水時に河川から大量流出する土砂が沿岸域の物理場や栄養塩環境に及ぼす影響の評価(Hoshiba et al., 2021) の2つの応用研究成果を発表した。また連携するFSI海洋プラスチック研究において、九州大学応用力学研究所のDREAMS_Dによる高解像度海況場を用いた対馬近傍のプラスチック粒子の追跡を実施し、海域による粒子の滞留時間等に関して現場観測と整合する結果が得られている。 これらの各研究は、対象となる現象の時空間スケールが著しく異なるが同じコードベースを用いて遂行されており、本課題で取り組む粒子追跡手法の汎用性をよく示していると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概要欄 2) の日本近海全域をカバーする高解像度海洋数値モデルの流動場データについて、計算機資源の確保などの問題等で当初計画より遅れが発生し、昨年度中に入手することができず、課題全体の遂行にも遅れが発生してしまった。 研究分担者 黒木と協力し、最終年度となるR4年度前半中に高解像度流動場を作成する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
プログラムコードの開発はほぼ完了し、応用研究への成果も出つつある。 遅れの発生した日本近海高解像度流動場についてもR4年度の前半に取り組む目処がたっているほか、気象庁が運用する海峡予報(解像度が若干悪化するが、長期間のデータが得られる)や、九州大学応用力学研究所の運用するDREAMSモデル(領域が限定されるが解像度が高い)が利用可能であり、進行状況に応じて臨機応変に取り組む予定である。
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