研究課題
サンゴ等は,熱帯・亜熱帯の海の多様な沿岸海洋生態系を形成し,人間にも多様な恩恵をもたらしている.しかし,現在,琉球諸島をはじめ世界中で多くの沿岸海洋生態系が危機に瀕している.その保全のためには,空間的側面だけでなく時間的側面も含めた沿岸海洋生態系のモニタリングとその物理環境との関係の解明が必須であるが,研究はいまだ十分でない.そこで,本研究では,国内唯一の海域の自然環境保全地域であり,また,2021年に世界自然遺産にも指定された西表島の崎山湾・網取湾自然環境保全地域を対象として,サンゴ等に関わる物理環境を,生態分布調査,海洋大気河川観測,数値シミュレーションを総合的に活用し,定量的に解明する.本年度は,昨年度に引き続き、網取湾において,サンゴの生態分布調査,波高・流速・流向・水温等の海洋大気河川観測を実施すると共に,その観測結果に基づき,同湾を対象とした,流れや土粒子の分布の再現のための数値シミュレーションを実施し,さらに,同湾におけるサンゴの被度・多様性指数等と物理環境との関係について検討した.とくに,網取湾の礁縁から礁斜面にいたる水深3~40mに見られる造礁サンゴ群集の被度・白化評価,及び,網取湾で瞬間最大風速54.1m/s を記録した2015 年台風15 号(T1515)を対象とした3 次元流動解析の結果を論文にまとめ,それらの論文は,それぞれ,土木学会論文集B3(海洋開発)誌,土木学会論文集B2(海岸工学)誌に掲載された.
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻: 79 ページ: 23-18047
10.2208/jscejj.23-18047
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻: 79 ページ: 23-17052
10.2208/jscejj.23-17052