研究課題/領域番号 |
20K04070
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
出牛 真 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (00354499)
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研究分担者 |
吉田 康平 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 研究官 (10636038)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大気化学-気候相互作用 / 成層圏対流圏結合 / 気候モデリング / 気候変動 / 成層圏オゾン |
研究実績の概要 |
放射・化学過程が成層圏-対流圏力学結合に及ぼす影響の解明は気象・気候予測精度向上にとって重要な課題であり、その気候影響も明らかにする必要がある。本研究課題では、地球システムモデルにおける化学場とその放射加熱・冷却場の表現を高度化し、中高緯度の成層圏-対流圏結合系における力学-放射-化学相互作用とそれによる地上気候への影響を、特に夏季に焦点を当てて明らかにする。 本研究課題の2年目にあたる本年度では以下のことを実施した。①地球システムモデルの化学輸送過程の精度検証を実施した。特に、オゾンを中心とした大気化学反応過程と輸送過程の検証を実施した。②昨年度に実施した地球システムモデルによる大規模アンサンブル数値実験の結果をもとに、成層圏突然昇温に伴うオゾン濃度の大規模変動によって生じる放射加熱偏差が、夏季の南半球中高緯度における成層圏-対流圏結合変動と地上気候に及ぼす影響を調査した。①については、地球システムモデルで再現されたオゾン分布の検証に関連した4本の研究論文が公開された。②については結果をまとめ、国内学会1件の発表を行い、論文のドラフトを作成した。また課題関連研究として、熱帯成層圏-対流圏結合についての論文が1本公開され、国際学会1件と国内学会1件の発表を行った。 本研究課題の遂行により、気候変動予測の不確実性低減への貢献とともに、精度の低い夏季の季節予測技術の向上にブレークスルーをもたらすことが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、地球システムモデルによる大規模アンサンブル数値実験を複数の事例について行いそれらの解析を実施する予定であったが、現在計算途中であり、解析は簡易的なものしか実施することができなかった。 その理由として、地球システムモデルの高度化と検証に時間を要したことがある。ただしこれらの実施によって得られた知見は本研究課題の成果に還元されるものである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度積み残した課題を遂行しつつ、3年目に予定している歴史実験・将来予測実験による気候影響の定量的評価課題を遂行し、成果を取りまとめて報告する。 場合によっては研究計画の1年延長も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた論文投稿を翌年度に予定変更したことや、コロナ禍の影響による世界各地の移動制限等により参加した学会がオンライン開催になったため、当初予定していた論文投稿代や旅費を執行することができなかった。 翌年度分として請求した助成金と合わせて、論文投稿代や実験データ及び観測データの収集と整理のための人件費として使用する計画である。
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