研究課題/領域番号 |
20K04076
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
勝又 勝郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋観測研究センター), グループリーダー代理 (80450774)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 近慣性周期波動 / 降下式音響ドップラー流速計 / LADCP |
研究実績の概要 |
手元にデータが存在するインド洋で過去 30 年にわたり蓄積された降下式音響ドップラー流速計のデータ解析を行った。二つの手法を比較した。第一に「観測された水平流速は近慣性周期の変動が卓越する」という仮定を採用し、観測機器降下時と機器上昇時の水平流速の差異から近慣性波動の振幅を最小二乗法で推定するという方法、第二に水平流速を 320 m の鉛直枠ごとに区切ってロータリースペクトルを計算し、そこから下向きあるいは上向きの群速度をもつ波束を抽出するという方法である。 第一の方法の結果、南緯 20 度から南緯 60 度の上層 2000 m に 1 ~ 10 cm/s 程度の振幅を持つ近慣性振動が見られた。大多数は下向きの群速度を持ち、風由来の近慣性波の伝播と考えられる。観測された領域(緯度・深さ)は観測手法により限定されたもので実際の近慣性波の分布を表すものとは限らないことに注意が必要である。海底地形およびその粗度との明確な相関は見られなかった。 第二の手法では、2000 m 以深にも波束が見られたものの、 2000 m 以浅での波束は第一の方法に比べると少なく、感度が下がることが分かった。ただこちらでは海底地形の粗度と上向き群速度を持つ波束に弱い相関がみられた。海底地形近傍で発生した波動をとらえた可能性がある。 今後はより感度の高い第一の方法を主に、発生源の特定に向け風の変動と近慣性波との関連を探る。また海域を太平洋・大西洋に広げる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手元にデータの存在するインド洋の解析を予定通り行った。
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今後の研究の推進方策 |
新たに太平洋・大西洋の降下式音響ドップラー流速計のデータを入手し、近慣性振動卓越の仮定をもとに(「研究実績の概要」に述べた「第一の方法」)解析を進める。
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