研究課題/領域番号 |
20K04076
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
勝又 勝郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋観測研究センター), グループリーダー (80450774)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 近慣性周期波動 / 降下式音響ドップラー流速計 / LADCP |
研究実績の概要 |
昨年度は (1)「観測された水平流速は近慣性周期の変動が卓越する」という仮定のもとで降下式ドップラー流速計によって観測された水平流速を最小二乗法によって解析する手法と (2) ロータリースペクトルを用いた解析、の二手法を比較して、(1) の方が感度が良いことが分かった。今年度は (1) の手法をインド洋に加えて太平洋や南大洋のデータに適用した。いくつかの観測線上におけるデータで解析を行ったところ、航海によって結果がばらついた。近年使用される RDI 社の 150 kHz ないし 300 kHz の観測機器以前に用いられていた機種で結果が悪かった。また近年スタンダードとなっている上向き下向きの二台の機器を併用する手法がとられる以前のデータで結果が悪かった。解析手法はとくに観測機器降下時と上昇時の時間差が小さくなる深度が大きいデータに対して、最小二乗法がノイズに弱くなってしまう。旧型の機器・手法に比較的大きく残ってしまうノイズが問題になっていると考えられる。このままでは多くのデータによる広域のデータ解析にどれほどの信頼性がおけるか定量的に評価できない。そのため実際のデータ解析を行う前に、解析手法の限界(具体的にはデータの信号ノイズ比に対する感度)を定量的に評価する必要が生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
適用されている手法がノイズに弱く、実際のデータによる解析の前に手法の限界を定量的に明らかにする必要性が出てきたため。
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今後の研究の推進方策 |
計算機シミュレーションにより、海洋内部波場をシミュレートしその中で疑似観測を行うことにより手法の限界を定量的に明らかにする。その限界に基づいて、実際のデータを解析し誤差を定量的に評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた国際学会が新型コロナウィルス感染症拡大のためオンラインに変更になったうえ、観測航海と日程が衝突して参加できなかった。次年度の参加は、感染症対策の進展や研究の進行をみて検討する。一部は論文印刷をオープンアクセスにするために使用する計画である。
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