研究課題/領域番号 |
20K04083
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
関口 春子 京都大学, 防災研究所, 准教授 (20357320)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地盤構造 / 堆積盆地 / 地震動 / 後続波 / 地震動シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究が目標とする堆積盆地構造モデルの地震波形による修正手法を実現するためには,1)反射波の波形から反射面の位置と傾きを求める解析手法,及び、2)adjoint波動場のシミュレーション法の開発が必要である。 1)については,比較的精度の良いと考えられる既往の堆積盆地の3次元速度構造モデルに基づき,このモデルによる地震動シミュレーション波形と観測波形の差から,これを微修正することにより基盤面の傾きを修正する方法を考案し,2018年大阪府北部の地震による大阪平野の地震波動場に適用した。地震動シミュレーション波形における直達波や基盤面での反射相について,センブランス解析的な方法で伝播方向を求め波線を遡りながら、基盤面入力位置や基盤面上の反射位置を特定した。入力位置や反射位置での基盤面の傾きを求め,これを微修正するステップについてはまだ実現できていないが、これによって,観測波形の反射相の震動方向に整合するような速度構造モデルへと修正することが期待できる。しかし、反射波、特に多重反射波は、基盤面の傾斜の影響を複数回受けて伝播経路が決まるため、観測波形の震動方向の形成原因となる基盤面傾斜を、その一地点の記録で一意に決めることはできない。これを決めるには多数のデータによる拘束条件が必要となるが、その部分の作業方針は明確にできていない。また、観測に存在する反射波が、シミュレーションでほとんど見えていないような、観測とシミュレーションの差の大きい場合の対処法についても検討を要する。2)については,既往研究を参考にプログラミングを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
解析手法の詳細を検討する中で,本研究計画時に考えていた筋道通りに行かないと判明したところがあった。可能な方法を模索するのに多大な時間を費やしており、プログラムの作成は一部分にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も,基本的には当初の目標に向かって,実現方法については模索を続けながら研究を進めたいと考えている。本研究の目的である,地震観測波形による堆積盆地構造モデルの修正という課題は,同様の精度・方向性で行われた研究例がほとんど無い難しい課題であるが,だからこそ,一つ成果を出して突破口としたい。困難な課題を解決するため,周辺分野の最近の研究事例の調査をさらに進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析プログラムの試行実験には入れなかったため,ハードディスクを購入する必要性が発生しなかった。また,書籍・資料も購入する必要が生じなかった。 次年度,解析プログラムの開発が進み,解析プログラムの試行実験を実施するようになると,大きなハードディスクが必要となる見込みである。
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