研究課題/領域番号 |
20K04086
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
千葉 崇 酪農学園大学, 農食環境学群, 講師 (60638980)
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研究分担者 |
井上 誠 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00599095)
西村 裕一 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (20208226)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 津波堆積物 / 珪藻群集 / 風化過程 / 気象観測 / 飛砂 |
研究実績の概要 |
東北日本海沿岸域には,主に強風による飛砂を防ぐ目的で沿岸林が植林されてきた.この沿岸林の土壌に残された津波堆積物等のイベント堆積物の特徴と風化過程を解明するため,地質調査に加え,観測された気象データを用いた検討を実施した. 秋田県八峰町下カッチキ台沿岸における調査及び分析の結果,1983年日本海中部地震に伴う津波堆積物や1991年に発生した台風9119号に伴う飛砂堆積物が沿岸林土壌中に確認された.これらは海岸林が形成されていないより海岸側の砂丘では見られないことから,沿岸林土壌はイベント堆積物の保全ポテンシャルが高い環境であると考えられた. 2022年度は八峰町より南に位置する能代市や三種町及び男鹿市沿岸域において調査を行った.その結果,能代市では八峰町と同様に2層イベント堆積物が沿岸林土壌中に認められた.一方,三種町沿岸域と男鹿市沿岸域では1層イベント堆積物が認められた.この三種町と男鹿市で発見されたイベント堆積物はその粒径と密度が飛砂に近い特徴を示していた. また,沿岸林における津波堆積物の保存過程を検討するため,八峰町の沿岸林に飛砂カウンターと風速計及び土壌水分計などを設置し観測を行った.また,飛砂採取用のトラップを開発し設置した.さらにアメダスから風向,風速などのデータを取得し解析を行った.これらの結果,観測期間中の強風により沿岸林の外(砂丘側)に設置したカウンターと飛砂トラップには飛砂がカウント及び採取され,珪藻遺骸も検出された.一方,沿岸林内に設置したカウンターとトラップでは飛砂が検出されなかったが,珪藻遺骸が僅かに検出された.さらに,沿岸林土壌と砂丘における地中のモニタリングの結果,土壌において相対的に水分量が多く,pHが低く,温度変化が少なかった.このことは,沿岸林土壌に認められた特徴が,津波堆積物の特徴をより多く保存するための条件として重要であると考えられた.
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