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2022 年度 実施状況報告書

ガスハイドレートと自生炭酸塩の地化学特性からガスチムニーの成長と崩壊史の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K04088
研究機関明治大学

研究代表者

松本 良  明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (40011762)

研究分担者 登尾 浩助  明治大学, 農学部, 専任教授 (60311544)
深澤 倫子  明治大学, 理工学部, 専任教授 (40409496)
戸丸 仁  千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (80588244)
大井 剛志  明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (40726486)
蛭田 明宏  明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (90726465)
Snyder Glen  明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (90751777)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードガスハイドレート / 嫌気性メタン酸化 / ガスチムニー / 自生炭酸塩 / マウンド崩壊 / ポックマーク / BSR
研究実績の概要

ガスハイドレートの生成場はメタン濃度も湧出量も大きい。メタンが海水由来の硫酸イオンと反応してアルカリ度と炭酸塩イオン濃度が上昇することで、海水中のCa, Mgと共にカルサイトやドロマイトが形成されることが分かっている。本研究では、このようにして生成する炭酸塩鉱物を手がかりとして、過去のメタン活動を復元し、ガスハイドレート生成と分解の地質学的背景を明らかにし、それらと地球環境との関わりを検証することが本研究のゴールである。MDACについて日本海、南海トラフのほか、沖縄島の鮮新世と更新世からの試料も入手し、それぞれ異なる地質背景の中で、MDACとメタンおよびガスハイドレートの関係を明らかにするため、分析とデータ解析を行なっている。
21年度と22年度においては、ほとんど注目されていなかった沖縄島のMDACについて関連する資料を収集し、データ解析を行い、投稿論文を完成させた。その骨子は以下の通り。
鮮新世と更新世に沖縄南部域には島尻層群中と呼ばれる泥質堆積物が形成されたが、約200万年前に比較的浅海の砂層(知念層)に急変した。岩相の急変は水深が急激に浅くなったことを示唆するが、この層準にはメタンに由来する炭酸塩MDACも多産する。現在の沖縄東方海域には、ガスハイドレートの存在を示唆るる兆候(BSR)が見られる。地質背景から200万年前にもガスハイドレートが存在していた可能性が高い。浅海化によりガスハイドレートは不安定化・分解し、大量のメタンが発生すると考えられる。このことが200万年前の地層中にMDACを生成した地質要因である。日本海のMDACも同様にメタン活動の過発化に関連していると考えられ、現在、データの整理・解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日本海のガスハイドレートの生成と崩壊過程を炭酸塩鉱物(MDAC)の地球化学的特性(鉱物組成、同位体組成、生成年代)から解明することが当初目的であったが、コロナ禍により、追加試料の採取が困難となったため、過去のハイドレート生成域からのメタンガスの採取と分析(千葉県九十九里域)と沖縄島で過去に採取した試料の再解析に集中した。前者では炭酸塩も採取され現在分析中である。後者では、既に分析したデータに新たな分析も加え、十分なデータが揃ったため、論文化し、既に投稿、現在査読中である。現在は、日本海のフィールドの調査や炭酸塩のデータ解析が可能となり、23年度中には当初目標を達成して論文を投稿する予定である。

今後の研究の推進方策

次年度は成果をまとめて発表する最終年度であり、以下の計画で課題研究を推進、成果を発表する。
1 日本海のガスチムニー内に生成する炭酸塩(MDAC)の地質学・地球化学データを整理・解析し不十分なものについての追加分析を実施する。試料数、分析アイテムは十分であるので、次年度初めには基本的な骨格が完成すると見込んでいる。
2 本研究グループは、日本周辺海域に分布するガスハイドレートの分布、産状、起源について継続的に研究を進めており、豊富な知見を蓄積している。本研究課題の最終成果には、背景となるこれらの情報も総括的に整理統合し第3の成果論文とする計画である。来年度に繰り越した研究費の多くは、これら論文作成と印刷のための経費として使用する予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により研究が予定通り進捗せず、初年度(2020年度)次年度(2021年度)では特に研究費が計画通り使用することができなかった。特に、海外を含む出張が出来なかったことが残余の理由である。研究計画を1年延長していただいた。次年度(2023年度)には、追加分析とデータ解析のための経費、学会での口頭発表、論文2本の投稿の投稿経費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [国際共同研究] Fugro(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Fugro
  • [国際共同研究] United Nations(その他の国・地域)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      United Nations
  • [雑誌論文] Vallitalea longa sp. nov., an anaerobic bacterium isolated from marine sediment2023

    • 著者名/発表者名
      Shiori Hirano; Takeshi Terahara; Koji Mori; Moriyuki Hamada; Ryo Matsumoto; Takeshi Kobayashi
    • 雑誌名

      International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology

      巻: 30 ページ: 1,12

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 沖縄島知念村大露頭に見る更新世テクトニクス・堆積・層序・メタン炭酸塩2023

    • 著者名/発表者名
      松本 良
    • 学会等名
      炭酸塩コロキウム(熊野ジオパーク)
  • [学会発表] 鳥取県沖・海洋基礎調査の目的と成果2023

    • 著者名/発表者名
      松本 良
    • 学会等名
      鳥取県海洋環境基礎調査ワークショップ
  • [学会発表] 沖縄本島島尻層群新里層と知念層の境界付近にドロマイト・コンクリーションと多産させた前期更新世知念変動とメタンハイドレート分解イベント2022

    • 著者名/発表者名
      松本 良・武内里香・中川洋・佐藤時幸・井龍康文
    • 学会等名
      日本地質学会第129年学術大会

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公開日: 2023-12-25  

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